スループット管理会計

驚いた。
私は無知であった。
こんな前に、答えがでていたなんて。


常々、私はTOC理論やトヨタ生産方式と一般的な製造原価策定方式とのギャップは
埋められないものだから、それは別々に捕らえるべきである、と、考えていた。
以前の日記「原価オタクにささげる本2冊」も、その考えを元に書いている。
ゴールドラット氏の本には、「スループット・ダラー」という、
はっきり言って、よくわからない評価指標があったが、あんな直感的にわからない
評価の策定方法では、かえって混乱するだけだろう。


ところが。
日本にその弱点を補完する。管理会計の仕組みがあったのだ。

まあ、本自体は、研究論文の体裁をとっているため、結構読みにくいが、
内容は衝撃的である。
時間あたり付加価値・・・そうか、こんな単純な答えがあったのか!!


時間当たり付加価値の計算方法は単純である。
すご〜く小さな単位にプロフィットセンターを分けて、
R/3ではサポートしていない社内売買をガンガンやりましょう、という考えのもと、
ある期間の売上から、かかった経費(労務賃を除く)を引いた金額を、
総労働時間で割ったものである。
この考えのすばらしいところは、
・計算方法が単純
・売上から費用を引くので、在庫を持つインセンティブが働かない
 →結果、在庫はもたないようにする、というインセンティブのみが働く
というところである。
著者は、二つ目の効果を、「理解しやすいようにした」という一言で片付けているが、
これは、私が捜し求めていた、スループット会計における、
誰もが納得できる評価指標にできるのである。


まあ、社内取引という前提が、内ゲバをまねかないのか、という危惧はやはりあって、
「競争原理」と「企業文化」があれば大丈夫、みたいな結論に、
この本はなっているが、本当かなあ、とは思う。
しかし、単純に評価指標としてだけでも、時間当たり付加価値は、とんでもなく
強力なツールである。
これ、R/3と連携して実現する外付けシステムを作って、ちょっと売り込みに行こうかなあ、
などと、本気で思う今日この頃である。