ひとくぎり

今日で一旦、いままでお世話になっていたユーザ企業から、抜けることになった。
ここ数日は、いろいろな人が送別会をしてくれて、毎晩飲み会だったが、
それも今日でひとくぎりとなりそうである。
私がいなくなって、しめたものだ、と思う人々も相当数いるだろうが
(特にいいかげんな仕事に対して差し戻しを食らっていた人々)
まあ、それも今日まで。
適当に体裁を整えれば、エンドユーザは、わかったようなわからんような顔をして、
「なるほど」と、答えてくれることだろう。


今まで行っていたユーザ企業は、途中抜けた期間もあるが、延べ2年半の期間
お世話になった計算になる。
最初は、ビッグバンの案件を、SAPのアカデミーに行ったっきりで、
実務経験のない人間ばかりを寄せ集めた状態で、無理やりカットオーバーさせた。
私自身、ロジスティクスプロジェクトはいくつかやっていたが、ビッグバンは初めてで、
かなり混乱したが、なんとか立ち上がった。
ただ、混乱の責任を取る形で、私は、プロジェクトを後にすることになった。


一年弱、別のプロジェクトに行っていたあと、またこのユーザ企業に舞い戻ることになった。
今度は、固定資産モジュール導入案件としての参画であった。
バリューチェーンの本流から少し離れた、プラントメンテナンスという観点からみた
企業活動というものに関して、考察する機会に恵まれた。
また、この案件では、「自分でやらない」で、人に作業を振っていく、ということを、
はじめて積極的に行った案件でもあった。
「人に任せる」ということが、いかに不安でたよりないものかを実感した案件であった。
任せた人間が、逃げ出したこともあった。
自分には、人を使う才というものはないのではないか、と、悩んだ。
ただ、そうしたなかで、無理やりながら、案件をひとつ、丸ごとまかせれるような
人材が育ったことが、少しの救いである。


その後は、最初の無理やりビックバン案件の、事業部拡張に伴う設定追加を行った。
自分ではなんにもしない(けど、それなりの立場にある)人々から、
「今度は大丈夫だろうな」
「二回も混乱したら、恥ずかしいぞ」
などといわれながらの仕事であった。
そして、比較的スムーズに立ち上がった。
なんだかーだ言ってた人間は、ただ黙った。というか、そのこと自体を無視した。
失敗していたら、「俺の言った通りだろが」と、用意していたに違いないのだが、
そう言う機会を奪ってしまったのだから、気に入らなかったのだろう。


そして、これらの成果は、ウチの会社の成果ではない。
プライマリーベンダーの成果である。
ましてや、私の名前は、オフィシャルには出て行かない。
ただ、ユーザの皆さんからの、
「本当にありがとうございました」
の一言で、次の仕事への活力が生まれる。
連日の送別会は、本当にそう思っていただいている、という、確かな実感になっている。
本当にありがたい。


明日は明日の仕事が待っている。
また、「ありがとう」と、言って頂ける仕事にしたいものである。