最近のわかいものは・・・

結構勢いで書いてしまうエントリですが・・・

いや、実際ちょっとかわいそうだな、と、思うわけですよ。
こんなに先が見えない状態で、よくがんばってるなあ、なんて思ってしまうおじさんがここにいる、という話で。

世間一般の話をしているわけではなく、IT業界限定、もっというと、自分が今お付き合いさせてもらってる、いわゆるコンサルファームとか、大手ITベンダーとか、そんなところに関するお話なんですけどね。

前はね、思うに、必勝パターンってあったんですよ。
そう、必勝パターンです。
端的にいうと、名のあるコンサルファームにもぐりこんで、何でもいいから5年やれば、それなりに箔もつくし、スキルも付くし、食うには困らずバリバリやれる、みたいな必勝パターンですよ。

確かに、それに乗っかるには、結構苦労しなければならなかった。昔って、コンサルファームの従業員数は1000人いなかったわけで、新卒で入るなんてのが、結構な狭き門だったりするし、中途で入るにも、転職のハードルって、今よりもかなり高かったし。
入ったら入ったで、労働基準法なんて関係なく、年俸制だからって理由で、いくら働いても、一年の給料は一定。時間で割れば、マクドナルドの時給より安い、なんて話が、まことしやかに流れていて。

けど、まあ、勢いはあった。間違いなく。
従業員数が少ないってことは、基本的に自分でなんでもやらなくちゃいけないわけで、私自身も、今までユーザとの打ち合わせなんて行ったことなかったのに、転職した社会人3年目で、いきなり打ち合わせを仕切ってね、みたいな話になり。何も知らなかったから、しゃにむに勉強し、資料を作り・・・そんなのを繰り返し、どんどん知識・ノウハウを溜めていった。それこそ一気に。

そして、会社としてもどんどん大きくなっていったから、生き残ればえらくなる。やめていく人間も多いが、会社が大きくなるスピードはもっと速い。生き残るだけで、役職はある程度ついてくる。
おお、どこかで聞いた。高度成長期の日本みたいな話が、10年ほど前のIT業界・・・まあ、コンサルファーム関連の一部ではあったにせよ、そんな状態が起こっていた。
まあ、わたしも、それに一瞬乗っかったクチ。すぐに離脱したので、生き残れなかった人間側ではあるのだけれど。


ところが、ですよ。
今現在を見てみると、こんな環境じゃないよね、若人は。


先輩らしい人がちゃんといて、レビューをちゃんとやってくれて、残業代分はちゃんとお給料もらえて。そこだけ見れば、前に比べてとってもよくなったように思う。


けど、企業の成長のペースという点では、明らかに前よりスローダウンしてきており、組織として飽和気味になってきている。ま、1000人いないような状態から、日本だけで3000人だと5000人だのにしてしまえば、そりゃ飽和する。


しかし、その飽和してしまった段階で入る人間のほうが、人数としては圧倒的に多い。そりゃそうだ。母数が多いのだから。
けど、企業の成長ペースは遅くなっているわけだから、前のように生き残ればえらくなる、なんてのは、ただの幻想でしかない。そんなのは、今から10年ほど前の高度成長期に入った連中が、先行者利益として、がっつり押さえてしまっている。

若人の仕事はというと、規模がでかくなったから、やっぱり若いうちは、単純作業っつーか、ひとつの仕事をずーっとやるハメになるわけ。
従業員が300人とか500人とかって規模でやってたときには、大きな仕事なんてのは、自分の会社だけではできないから、協力会社を使ってみたり、そもそも大きな仕事には手を出さなかったわけだけれども、大きな規模になれば、大規模な仕事をやって、そこに自分とこの会社の人間を、どお〜っと人数突っ込むほうが効率がいいからさ、そりゃそうなるわけですよ。
で、大規模な仕事を効率よくまわすために、一番手っ取り早いのが、官僚的文化の導入だったりする。手順書、マニュアル。それ自体の価値は否定しないけれど、じゃあってんで、手順書だとか、マニュアルだとかを作る人ってのは誰なの?というと、そんなこと出来るヤツはいなくって、どこかからの借り物で茶を濁す。
たまに作ってみようか、みたいにやってみると、ハエがたかるように、細かな不備をあげつらい、てにをはのチェックだけをやる連中が湧いてくる。使いもにならなかったものを、ちゃんとしたものにしました、みたいなポジショニング。そんなのを狙う連中がわんさと出てくる。
そんな雰囲気のなかなら、当然、若人の最適解は、前例踏襲、マニュアルに基づいた仕事を、きちんとこなしていく。当然そうなる。
ま、それもいいんだが、前例踏襲、マニュアルに基づいた仕事をきちんとこなす、で、なんとかなるのは、大規模な仕事の中だけ。小規模な仕事に入れば、いろいろ自分でやらなければいけないし、大規模な仕事では、他の誰かがやってくれた、口うるさいクライアントや、突然止まってしまうシステムのお相手を、イヤが上でも自分でやるハメになる。つーと、大規模な仕事を続けること、ひいては、大企業になってしまったコンサルファームや、大手IT企業に居続けることが前提になるわけで。

そう、以前の必勝パターンは完全崩壊済み。
短期間で何でもやって、どこに行ってもなんとかなるスキルが身に付く、なんてことは、大規模な仕事の一部を前例主義に基づき、淡々と行うことが最適解の現在、それはただの幻想。
じゃあ、粘って粘って出世して高給取り、なんて路線も、上が詰まってて先がしれている。
こんな中で、よくやってるな、と、本気で感心してしまう。

じゃあどうしたらいいんだ、若人は、という話になると、正直私には答えがない。
客観的に見れば、ある業界がぐわっと大きくなるタイミングで、そこに飛び込むのが必勝パターンなわけだけれども、右左見たって、そんなとこが今あるんだっけ??なんて感じになる。
ただひとつ言えることは、既得権益者である、おじさん上司の言ってることが、本当に自分のためになるのか、単に昔の経験から言っている時代錯誤なたわごとなのか、意識しているかどうかはともかくとして、若人を捨石にして、自分の立場を強化したいために言っているのか、それを注意深く判定するのが、自衛ってもんだろう、ということくらいだ。

自分自身は逃げ切れるか微妙な世代と立場だが・・・
けど、今の若人よりは、確実に恵まれてたね、ほんと。