給付金システムを脳内設計してみる

定額給付金が昨年出たときに、SalesForceを使ってめっちゃ短期間にシステム構築やりました〜なんて記事がでていたのを、昨今の子供手当て騒動を横目に思い出した。
SalesForceCRMアプリケーションのひとつなわけで、SAP CRMをメシの種にしているわたしとしても、どんな設計をしたのか、なんてのを考えてみるのも、まあ面白いかなあ、と思うわけで、れっつ思考実験!でございますな。

事務処理の流れ・・・多分こんな感じ

定額給付金は、各自治体によって、具体的な事務処理のやり方は違っていたようだけれども、基本的な流れは一緒のはず。
1.各世帯に、給付予定額の案内を出す。その際、受取方法を指定してもらう。銀行振込一本で行くなら、振込口座を書く用紙を入れておく。
2.各世帯から返事が返ってくる。振込口座を、各世帯ごとに設定する。返事が返ってこない世帯には、案内の再送などで対応をする。
3.実際に振込みを行う。振込み結果がエラーとなった世帯には、再度口座の指定をしてもらう。
まあ、こんな感じに違いない、きっと。

CRMの基本機能を使った実装・・・最初のセットアップ

この業務を、CRMの基本機能を使ってマッピングしてみる。
まず、「各世帯に案内を出す」前提として、それらをマスタ化して保持する必要があるだろうな、ということで、多分住民基本台帳のデータを使って、得意先マスタにインポートする感じなんだろうな〜と、見当をつけてみる。
で、世帯主とその家族の関係を、親会社・子会社の関係みたいにインポートしてやれば、たぶんあとあと便利な感じだろうな〜という感じ。
そのあと、各世帯に対して、リードを自動生成する。このリードに、ステータスをつけてやって、この後の事務処理がどこまで進んでいるか、管理していくわけだ。
各リードには、明細をぶら下げる。ぶら下げる明細は、各世帯の家族。その明細1件ごとに、定額給付の金額を設定する。すると、それを積み上げたリードの金額が、その世帯に対する振込み金額になる、という仕掛けが出来上がる。

CRMの基本機能を使った実装・・・基本的な事務処理の流れ

次に、リードに登録された得意先(住民基本台帳が元)に基づいて、給付予定額の案内を出す。
必要なデータは、上でセットアップしたリードに全部入っている。世帯の住所と、給付予定金額およびその明細だ。
まあ、一括印刷してくれる業者がいるだろうから、その業者にデータを渡すと、戦艦みたいな巨大プリンターで、ガンガン印刷をかけてくれて、郵送されることだろう。そういうアウトそーソングやっている業者は、世間にはたくさんあったりする。郵送がされると、リードのステータスを進め、「案内発送済み」にする。
しばらくすると、各世帯から振込口座が記入された用紙が送り返されてくる。それらを、各リードに登録していく。得意先に紐付け銀行口座を設定できるのは、CRMの基本機能だから、特に問題ない。
で、振込み日が来たら、振込口座と金額をデータにして送信する。そうすると、各世帯が指定した口座に、定額給付金が振り込まれる。

エラーとか、問い合わせ対応とか

この事務処理で、主にエラーが発生しそうなのは2箇所。
郵送した案内があて先不明で帰ってきた場合と、返ってきた振込用紙が不完全である場合もしくは、銀行振り込みをしたらエラーとなって返ってきた場合だ。
このエラーの状態は、正常な状態と同時に存在できないから、上記のステータスでやっぱり表現できる。「あて先不明」の場合は、次のアクションが取れないが、問い合わせがあれば、あて先を訂正し、再度案内を出せば「案内発送済み」にステータスができるし、振込用紙が不完全であったり、振込みしたらエラーになった場合は、「口座再問い合わせ」みたいなステータスを作っておき、再度用紙を送付する、という流れだ。
で、各世帯から、「まだ振り込まれてないんですけど〜」とか、「案内が隣にきたのに、まだウチにはきてないんですけど〜」みたいな問い合わせがきた場合は、住所・氏名を元にして、リードを検索し、ステータスを見れば、どんな状態かわかる。
また、「ウチ、もう一人いるはずなんですけど〜」みたいな問い合わせには、リードに紐付いている得意先を参照し、「何月何日時点では住民票ないんですよね〜」なんて会話をするわけだ。

あれ、案外簡単じゃね?

こうやってみると、住民基本台帳からのインポートと、案内印刷用のデータアウトバウンドおよび振込用のデータアウトバウンドさえ作ってしてしまえば、普通のCRMアプリケーションで、給付金の管理システムは、ちょいちょいと作れてしまうような気がする。
データのやり取り以外の部分なら、得意先マスタからのリード自動生成なんて、CRMの基本中の基本機能だし、リードのステータス管理は、営業さんがどこまで商談を進めているか、という管理そのものだし。
こんな実例を出されたら、個別の市町村に売り込みに行ってるIT企業の営業さんは大変だろうな〜という感じ。次の特需は、たぶん子供手当てなんだろうけど、きっとギラギラした目で営業をかけてるSalesForceの皆さん対、それはさせじと防戦を続ける既存IT企業の営業さんの戦いって感じなんでしょうかね、きっと。。
ま、市町村のIT担当の方って、持ち回りの前例踏襲主義の方が多いから、「クラウド?しらね〜しヤラネ」って言うかもしれませんが。
ではまた。