見積・契約のプロセスとERP

前回のつづきから・・・

さてさて、前回は、営業活動には案件ごとにフェーズって考え方があって、フェーズごとに異なる活動を普通するもんだ、って話と、SAP CRMにおいては、案件伝票ってもので案件を表し、ユーザステータスでフェーズを、活動という伝票ちっくなもので実際の活動を記録する、というお話しまでした感じである。

見積・契約のプロセスとフォローアップ

前回でいうところのフェーズ4、実際にお客さんがお金を出す気になったんだけど、当然コンペもいて、さあ受注に向けてがんばるぞ!!という段になると登場するのが、「見積」である。
当たり前だけれども、この見積ってやつは、実際に何を売るのか、その金額はいくらなのか、支払条件はなんなのか、付帯事項はどんなものがあるのか、ということを記述するわけである。
で、CRMはというと、そのものズバリ、「見積伝票」なんてのがある。この見積伝票に、上述の情報を記載していくわけである。
この見積伝票、当然、と、言ってはなんだけれども、案件伝票と紐付けができるようになっている。その名も「フォローアップ」。ERPのモジュールを見た人は、購買依頼から購買発注伝票を作ってみたり、受注伝票から出荷伝票を作ってみたり、という操作をやったことがあると思うのだが、まさにあのイメージ。どちらかというと、SDモジュールに近くって、フォローアップで伝票を作ると、伝票フローなんていうのが見えて、見積伝票から案件伝票に飛んでみたり、案件伝票から見積伝票に飛んでみたり、まあ、そんなことができるわけなのである。
CRMのフォローアップの大きな特徴は、その節操のなさ。ERPのSDモジュールでは、受注伝票から出荷伝票を作る、というプロセスは不変で、間になにか別の伝票を挟む、なんてことは事実上できない。ところが、CRMでは、別に案件伝票から見積伝票を作る、というプロセスががっちり決まっているわけではなくって、何の伝票から何の伝票を作るのか、というのは、自由に設定できたりする。なので、見積伝票から案件伝票をフォローアップ!!なんてのも設定次第でできるのである。ま〜、そうはいっても、そんな無茶な設定は普通しないんだけれども・・・
で、見積ってのは、普通いくつかのバージョンを作るわけである。その中で、晴れてコンペに勝って、契約という運びになると、契約伝票を登録する。こいつも、当然見積からフォローアップして作るのが一般的な流れである。

販売伝票の登録とERPとの関係

で、契約が締結されると、実際の生産、受注という流れが始まる。
ここで、やっとこERPの登場である。契約伝票から販売伝票をCRM上で作成すると(まあ、契約伝票をすっ飛ばして、契約締結がされると、直接販売伝票を登録する場合も多い)、BdocだかIdocだかという仕掛けで、ERPのほうにデータが飛んで行き、ERP側で受注伝票が自動登録される。きちんと品目マスタを登録しておけば、受注生産品なら、この段階で製造指図が発行され、生産がスタートする。在庫品ならば、引当がされて、出荷を待つ、という段階となる。んでもって、実際に出荷がされると、請求になって、ERPで請求処理を行うこともできれば、もう一回CRMに処理を戻して、CRMで請求をかけることもできますよ〜というのが、システムとしての大まかな流れである。

で、やっぱり組織と役割の範囲

ま〜簡単そうに書いてみたわけなんだが、多分実際に要件分析をするなかで、この契約から生産なり、引当なり、出荷なりにつながる部分が一番難しくなりそうだな〜と思う部分である。
まあ、こんなこと言ってはなんだけれども、契約のプロセスまでは、主要な登場人物は、極論すると営業とお客さんだけである。まあ、当然見積・契約のプロセスのなかでは、上の例では豪快にはしょったけれども、上司のチェック、つまりは承認なんてプロセスも当然入ってくるし、さらにフェーズ1に戻ってみれば、そもそも「案件」ってのは何の単位だ??なんて、各人のイメージを揃えることに一苦労のトピックもある。けれども、まあ、相手にするのは営業さんである。
ところが、契約から出荷のプロセスでは様相が異なる。端的に言うと、営業さんがどこまで介在するか、という点で、会社ごとのカラーが明確に分かれていく部分である。
一番営業さんの仕事が多いパターンは、契約をまとめたあと、実際の出荷にあたって、複数ある在庫拠点および生産拠点の引当状況を見ながら、出荷指示までかけて、実際の搬入まで立会い、場合によっては、その場で検収のハンコをもらい、自社に戻って売上登録の実施、というパターンである。
けど、まあ、このパターンでは、ひとりが把握できる案件なんてたかが知れているし、商談中に携帯がなって、「生産調整で納期が遅れそうです」なんて話が飛び込んできたり、まあ、生産性としてはあんまりよくない。と、なると、勢い契約締結後のバックエンド業務はセンター化して、引当状況の確認、出荷指示くらいは任せましょう、みたいな話になる。
ただ、出荷指示とは言うものの、実際に受け取りをしてくれるお客さんの担当者が誰か、トラックで搬入するとき、駐車場は確保されているのか、重いものを設置するときに、エレベータくらいは使えるのか、搬入時に養生(引越し屋さんがよくやる、壁にダンボールなんかを貼って、傷をつけないようにする作業)は必要なのか、なんて情報が必要で、これを誰が確認するの?という話が持ち上がる。顧客接点という観点では営業さんなんだけれども、まあ、「モノを売る」っていうスキルよりも、「確実に届ける」というスキルのほうだよね、ということで、バックエンド業務のなかに、そういう確認部隊みたいのを作って動かす場合もある。
で、まあ、そういう感じのことをヒアリングし、CRMERPの各伝票、各プロセスにマッピング、誰がどの伝票を使って、情報のやりとりがスムーズに行っているか、ということを確認、設定を行っていくわけなのだが、ま〜大抵は、「バックエンド業務センター化の一環でシステム導入だ!!」みたいな錦の御旗があり、ヒアリングしようにもまだ決まっていない、なんてことがままあるわけである。プライムさんがコンサルファームだったりするときには、大抵そういうプロセス設計からやっているから、まあ、首を突っ込むこともたまには可能なんだが、一番最低のパターンは、業務改善チームとシステム部門の仲が悪くって、同時平行的に作業が進んでしまう場合。まあ、嵐のような手戻りを覚悟しなければならないでしょうなあ、これは・・・

ここまでにしときますか・・・

またしても眠くなってきたので、今日はここまで。
次回は、営業活動をフェーズわけしたり、活動として記録することの意味、なんてのを考察してみる予定。
予定は未定であり、決定ではないけれど。