停滞と衰退の10年が始まった

再開へのパワーってやつ

かなりお久しぶりな感じなのである。
前回更新が1月6日だから、もう10ヶ月近くも更新していない。ちょっと間が空くと、更新するのにパワーがいる、なんてことを聞いたことがあったが、やっぱりパワーがいるのである。毎日のように書いていたときには、ブログ用の頭というか、何かを書くつもりで世の中や仕事を見ていたわけだが、中断してしまうと、そこに頭がいかなくって、本当に目の前の仕事・タスクに集中となってしまう。
ということで、随分と更新しなかったわけだが・・・やっぱりなんか書き留めておかねば!!というパワーが出たのが、参院選以降のドタバタなのである。

「大きな問題」と既得権益

思うに、である。
中学校のあたりから、倫理政経なんていう教科が始まったわけなのだが、その段階で「問題」と教えてもらったことの中で、今解決している問題が、一つでもあるだろうか。
農業の自由化であったり、過疎化に対する対応であったり、高齢化社会に対する対応であったり、領土問題であったり、財政の健全化であったり。
何が解決した?何も解決していないのである。20年たっても解決しないのである。
何故解決しないのか?
昔は、政治家にやる気がないからだ、と、漠然と思っていた。しかし、それなりに年を取るにつけ、わかってきたことがある。大きな問題というのは、今までのやり方が行き詰ったから発生し、今までのやり方の上に成り立っている既得権益者が存在し、しかもその関係者が多いから大きな問題なのであって、どんな方向に解決をはかろうとも、現在の既得権益者を説得することが困難であるから、「大きな問題」なのである。
で、その既得権益者っていうのはどんなヤツか、と言うと、ちょっと前までは時代劇に出てくるような、悪代官と越後屋みたいな人々を想像していたんだけれども、やっぱりそれは違っていた。実は衰退していく農村のおじいちゃんおばあちゃんが最大の既得権益者である、という図が発生したりするので、数字と論理で固めた「改革」は、途方にくれるおじいちゃんおばあちゃんの絵の前に説得力をなくし、結果、「角をためて牛を殺す」式のことが発生するわけである。

改革が進む条件

じゃあ、どうするのか。
例えば、年金改革なんてのがわかりやすい。ちょっと前にできたあれは、非常に評判が悪かった。100年大丈夫という設計だが、本当に大丈夫なのか?という疑問はもっともで、私自身も、とても「大丈夫」と呼べるものではないなあ、というのが感想である。
しかし、大きく評価できるところはあって、少なくとも、一部の既得権益者・・・まあ、はっきり言って、私たち今現在働く世代である・・・の権利を剥ぎ取ることで、牛を殺す可能性を少なくした、というところは、評価できるんじゃないか、と、思うのである。
で、こういうことが「できる」状態っていうのは、強い政府が存在する状態でしか有り得ないのである。例えば、与野党伯仲の状態で、時の与党が既得権益者の権利を剥ぎ取ったら、必ずその人たちを敵に回す。敵に回せば、政権はひっくり返れる。ひっくり返れば、その剥ぎ取られた権利を回復するように、政権をとった側は動く。そうすると、元にもどってしまう。
いや、上の例は正しくない。実際に政策を立案し、実行するのは官僚である。官僚にしてみれば、すぐ上の言うことが変わるのをわかっている状態で、既得権益者の権利を剥ぎ取るような「仕事」ができるわけがない。直接の交渉は、たいてい官僚がやるのである。がんばって「仕事」をしても、次の「ボス」(大臣)がやってきて、何をやっているんだ、とばかりに、はしごを外され、冷や飯を食らうハメになるのなら、無難に受け流し、時が過ぎるのを待つのが一番賢い方法だ。
そうならない状態っていうのは、再度言うが、時の政府が強い政府であり、明確な方向性があり、しばらくこの方向で進むだろう、既得権益者の力は小さくなるだろう、そう誰しもが思える状態になって、始めて「改革」らしきものは進むのである。

民主党に投票した連中はアホか?

振り返るに、93年に細川政権ができたのが、空白の10年の原因であるのは、上記のような状況が生まれたからに他ならない。その間、問題はどんどん先送りされた。神戸の地震の時、前例がないから、という理由で、自衛隊の出動を躊躇し、死人を量産しやがったペンギン眉毛のバカが首相になってしまったのも、元はといえば、93年の与野党逆転が原因なのだ。
そして、やっとこ小泉内閣という強いリーダーシップを持った内閣が誕生し、いくつかの懸案は、ある程度処理された。年金問題もそうだし、郵政民営化もそうだ。ただ、いくらリーダーシップがあったって、既得権益者はいるわけで、多少の骨抜きはあったわけだが。
そして安倍内閣。道路財源の一般化、教育基本法の改正と、既得権益者に一撃を与える懸案を処理した。十分に仕事はしたわけである。
それなのに、だ。
はっきりいって、小事である、領収書がどうだの、ナントカ還元水がどうだの、ハテは、別に安倍内閣の時代にどうこうなったわけではない年金問題をあげつらう。それで、民主党に投票だなんて、頭がイカれている。
だいたい、原因となった社会保険庁サボタージュの責任は、主に自治労にあり、その自治労民主党の巨大支持団体。年金番号制度導入時に、名寄せを先送りにしたときの厚生労働大臣は、菅直人なのである。
それに、民主党の地方対策を見たか?農家に一律補助金を配るんだぞ!!
これも、後継者問題に悩む農村への対応として、土地の所有と耕作とを分離し、株式会社形式の法人参入を段階的に認めてきた小泉→安倍の改革路線の逆を行き、後継者問題を先送りにし、今の農家をシャブ付けにするとんでもね〜法案だ。
そんな支離滅裂な案を出している政党に投票するなんて、本当にどうかしている。
結局、任期6年解散なしの参議院に、民主党議席をあんなに増やしてしまっては、今後10年、強いリーダーシップが発揮できる内閣の登場は不可能だ。
そう、93年の二の舞だ。
民主党に投票したヤツは、頭が悪い上に、記憶力もない!!

ふー、熱くなった・・・

いや、まあ、もう時が戻せるわけではなくって、停滞と衰退の10年は決定した。
後世、日本の中興期の終わりをつげる年が今年で、その象徴的なイベントが参議院選挙、ということになるだろう。自民党の総裁選挙で、麻生氏を若い都市居住者がいくら応援しても、参議院選挙の結果は変わらず、強いリーダーシップを持ち得ない。その点で、福田であろうが麻生であろうが一緒だ。
私が個人としてできることは、しばらく日本に見切りをつけ、しかし日本語しか話せないので、財産をせっせと外貨に替えることぐらいなのだ。