スキルってなんだろう・・・困惑の現場より

まあ、えらい大げさな題なのだが、実はグチってみたい、というエントリだったりするのである。

「お客様に理解していただくのです!!」

私のようないわゆる「協力会社」の人間にとっては、プライムベンダーの「色」というか「文化」というのは、かなり重要だったりするのである。その「文化」が、私の価値観と合わない場合には、大抵お互いにかなし〜い話になって、終わってしまう。まあ、お見合いをやってみて半年ばっかり付き合ってみましたが、やっぱり性格の不一致で・・・という、お見合いおばさん泣かせの状態に、非常によく似た状態になるのである。
で、だ。
今一緒にやっているプライムベンダーさんなのだが・・・正直今までのベンダーさんにくらべて、圧倒的、そう、圧倒的に異質なのである。例えて言うなら、お見合いに行ってみたら、日本語も話せない外人の人が座っていて面くらい、まあ、とりあえず英語の勉強がてら、お付き合いしてみましょうか、みたいな状態だったりするのである。
例えば、である。
ある要件があり、それに対してSAPの技術要素では、3つのやり方があります、みたいな状況を考えてみる。
少なくとも、私の文化では、まず、それを決めるための道筋を考える。最初に、誰がこの件について「うん」と言えば決まるのか、という人物の特定を行い、その人に対して直接説明を行い決めてもらうのか、中間の誰か(多くの場合、それは作業をする上でのカウンターになっておられるユーザなのだが)から報告を上げてもらうのか、という点を確認する。そして、その最終承認者が、何を持って判断するのか、を抽出する。その判断の要素を使って、最初の3つの技術要素を、一押し案、対案、捨て案に振り分ける。で、その振り分け結果にしたがって、情報を取捨選択し、資料を作成し、打ち合わせなりを設定する。
どう?当たり前じゃありません?これ。
しっかし、どうやら世の中、当たり前ではなかったのだ。
今のベンダーの文化は、「お客様に理解していただき、選択していただく」が、最優先なのである。
「あ?そうであっても上記の手順を踏むんでないの?」と、思ったあなた。そう、それは私と同じ文化なのである。現ベンダーの文化にあっては、まず、3つのやり方について、重み付けなく、徹底的に説明をしようとするのである。勢い、「今回のプロジェクトには、どう考えてもあわね〜だろう、その話」は、というネタもちゃ〜んと入れて、話をする。なぜなら、「お客様に選択してもらうために、理解してもらう必要があるから」。だから、私の文化では必須の、「情報を取捨選択し」というステップは、逆に手抜きとして糾弾されてしまうのである。

スキル=知識ではないと思うのだが・・・

いや、実際のところ、このアプローチは、「スキル=知識」である、という認識に立っているわけである。彼らにとってのスキルアップは、「知識の増大」つまり、製品知識の増加、という帰結になるわけだ。
そりゃ、ご本尊SAPの製品コンサルの皆さんなら、そんな感じでもいいと思う。しかし、今はプロジェクトをやっているのだ。プロであるところの私たちと、同じレベルの製品知識をユーザに持ってもらい、それで判断してもらう、なんてアプローチ、いっくら時間があっても足りないんじゃないの?と、思ってしまうのである。
それなら、「製品知識」を提示するのではなく、「判断根拠」を提示して、その「判断根拠」について、良し悪しをユーザに判断してもらう。その「判断根拠」から導かれる「結論」(どの技術を採用するのか)については、プロたる私たちを信用してもらう。うーん、そうじゃないのかなあ・・・

この文化に慣れるのか??

まあ、なんつ〜のか、この年になってCRMなんていう初物をやっていて、やっぱり若いころより飲み込みが悪くなってるよね〜という話の裏返しで、こんなグチになっているのかもしれない。いや、そういう一面は確実にある。認める。
けどね、やっぱり私の文化では、「判断根拠」の切り口を抽出し、状況を考え、「判断根拠」を構築することこそが最重要のスキルであり、それこそが、ユーザが私たちにお金を出している根拠だ、という文化であり、それはこの仕事やってる限り変わらないだろうな、とも思うのであった。