脱税を一番しているのは一般リーマンじゃないの?

ちょっと大外しするかもしれないのを承知で、こんなアジなお題で話を始めてしまうのである。

ある意味実験

いや、前回のエントリ、ちょっとほっといたら、一日4000ヒットである。こんな数は通常の40倍のヒット数で、かなりびっくりなのである。
アクセスログを見ると、有名ニュースサイトに取り上げてもらったのがトラフィック急上昇の直接の発端のようだが、そも、何に皆さん引っかかっているのかしら、というのが、私の中の疑問だったりするのである。
働き方にどんなものがあるんだろうか、だとか、ほんとにリーマン法人作ったら得なんだろうか、だとか、はたまた朝日がきらいなんじゃあ!!(告白すると、私もきらい)だとか、いろいろ理由はあるのだろうが、うーん、税金かなあ、と思ったので、アジなお題をあげてみた。

いや、中身はないよ、本当のところ

さてさて。では本題。
「脱税」の定義を、本来払ってもいないお金を経費にすることで、税金を安くしている状態、と定義してみよう。この定義で、一番脱税をしている人々とは誰なのか?自営業?農業従事者?
いやいや。実はサラリーマンである。
給与明細をじんわり見てみると、そこには「給与控除」なる項目がある。この項目、給与の金額から、所得として認識しない額が書かれている。つまり、みなし経費なのである。詳細は、
http://www.yanagisawa-accounting.com/tax-answer/index.htm
あたりを参照してほしい。
この金額、位置づけとしては、サラリーマンが、経費の申告をするのは手間もかかるし実用的ではないから、みなしで経費を認めましょう、という金額である。
で、この金額、実は結構大きい。多分、税理士だとか、SEがフリーランスになったりだとかして、個人事業形式で事業をすれば、よっぽど経費をがっしんがっしんつけこまないと、給与控除よりも多くの金額を経費にできないくらいの金額なのである。つまり、普通にやっても使いきれない金額を、実はサラリーマンは費用として認められているのである。
もちろん、これは法律上認められていることなので、法的には脱税にはならないのは当然。ただ、感覚的に「合法」な節税もいわば「汚い」方法で行われ、使ってもいない経費を計上し、税金を安くしている実質「脱税」だ、なんつー感覚は、どうも根強いような気がする。しかし、そんなふうに思っている皆さんが、脱税の定義を「本来払ってもいないお金を経費にすることで、税金を安くしている状態」としてみたとたん、実は脱税をやっていることになっちゃうんだよね〜ということを言いたかったわけである。
まあ、そんなことはわかってるぜ!!という皆さんのほうが多いのだろうが・・・

「所得」の把握は難しいんですよ、技術的に

さて、この話をつきつめていくと、そもそも「所得」に対して税金をかけよう、という方針自体への疑惑がわきあがってくる。
「所得」というのは、入った金額から使った金額を引いたもの。これは当たり前だ。
しかし、それを厳密に追跡しようとすると大変である。特に、「使った金額」が曲者。「使った金額」が「経費」なのか単なる「贅沢」なのかは、事例を積み上げるしかない。経費なら税金は減るし、贅沢なら税金は上がる。一例をあげると、会議費は一人当たり3000円までは「経費」として認めましょう、それ以上は会議費としては贅沢だから、費用としては認めませんよ〜なんていう、税務署の裁量ベースのお話なんていうのがあるのである。そもそも、企業の会計では、会社法に基づく「所得」と、税法の「所得」(つまり利益)は、違う金額なのだから。
そう考えていくと、そもそも技術的に把握が困難な「所得」というものに対して税をかけていること自体がおかしいんじゃないの?なんて私は思うのである。しかし、「所得」に対しての税金、これを本当にやめてしまうと、「金をもうけているヤツほど税金を払うべきだ」というエモーショナルな話を押さえ込めなくなってしまう。それこそ共産党お得意の、「金持ち優遇税制」ってやつである。これもまた事実なので、制度上、蜃気楼のように不安定な「所得」という金額に対する課税は残るのだ。
で、結果、本当に儲けているヤツは「節税」を駆使し税金を押さえ込んでしまって、儲けている「サラリーマン」だけが、税金をきちんとおさめている、という状態が出来上がる。これはどう考えても不公平だ、という不満がでないように、税務署は定期的に有名人の「脱税」(そのほとんどは、経費として認めるか認めないのか、という技術論なのに)を新聞記者にリークして一般市民の溜飲をさげ、ちょっと頭の人向けには、実は実際に使っている経費よりも多めに、経費として認めてるんですよね〜という言い訳をする制度を用意する、という、実に巧妙な作戦で、リーマンを懐柔しているのである。
まあ、そういう意味では、税金を考えるという観点での朝日の記事は、まんざら無駄でもない記事かなあ、なんてフォローを入れてみたりするのでった。

ではまた。