スキルセット その5 「橋」の考察

ということで、前回は、開発者とコンサルとの間にある
ギャップについて考察したわけなので、
それを乗り越える「橋」を考えていきたいな〜と思う。
最初に、「橋」とはちょっとズレて、
「見た目」についての考察を先にしたい。


私も最近は、パートナーさんの候補者のかたの
面談をすることが多くなった。
そこで一番重視するのは、実は「見た目」である。


「見た目」てなことを書くと、なんじゃこらぁ!!という反応が
返ってくるのが目に見えているのだが、
しかし、である。
コンサルっつうのは客の前で話をする職業である。
「見た目」がいまいちでは、話にならないわけである。
大体、「見た目で判断されたくない」って抜かすヤツに限って、
他人の内面には興味がない。
自分が興味のないことを、他人が興味もってくれると
本気で思っているのか?


で、「見た目」というのは、服装もそうなのだが、
一番重要なのは、受け答えのやり方である。
何が私にとって一番怖いかというと、
送り込んだ「コンサル」が、「態度が悪い」
と、言われるのが困るのである。
プロジェクト推進の上で最も大きな壁は、実は「感情」であり、
「態度が悪い」は、直接プロジェクトの脅威なのである。
なので、そもそも挨拶がきちんとできねーやつは、
少なくともコンサルとしては、はい、さようなら、なのである。


あとは、「自分の意見を言う」ということに慣れているかどうか。


最近は、営業さんもわかってきたのか、面談の前に、
「今回はコンサルとして売るから、
このプロジェクトで業務はわかりました、と、言っておけ」
みたいな指示が、面談を受ける人に出ている場合があるようである。


で、私としては、実地の知識はのどから手が出るほどほしいから、
聞くのである。
「どのような点で苦労されましたか?」
で、返ってくるのは、残業が多かっただとか、仕様が決まらなくて、だとか、
まあ、そんな感じのことである。
「なるほど、それは苦労なさいましたね。
では、その業務の特性上の苦労はどんなところがありました?」
この質問に、まともに答えが出せ、理路整然と話ができれば、
「見た目」としても合格だし、多少経歴はつらくても、
プライムベンダーにプッシュしようか、という気にもなるのである。


逆に言うと、ここが「橋」なのである。
開発したプログラムを誰が使うのか?
なぜ必要なのか?
どのようなデータがやっていくるのか?
そのデータはなんに使うのか?
全部詳細設計からあとの工程では必要のない知識である。
それをちゃんと理解していることが、第一である。


同時に、座学。
大規模プロジェクトになればなるほど、
自分の作っているプログラムは「部品」になり、
全体での位置づけ、役割が見えにくくなる。
全体の位置づけを把握するには、普通業務というのはこうなっている、
という知識が必要だ。それは、本を買って調べたり、
ネット上をうろうろして把握するわけである。


そして、開発の仕事の中での知見と、
座学での知見を自分なりに組み合わせ、
それをきちんと人に伝えることができること。
そうすると、
「その業務の特性上の苦労はどんなところがありました?」
という、極めていじわるな*1質問に答えるための準備ができる。


そして、「見た目」の「実績」。
ちょっと言い方は変だが、エンドユーザと直接仕事を行った、
という実績がやはり必要である。
開発という立場ではなかなか難しいが、
例えば概要設計者としてちょっとやりました、だとか、
移行担当として参画し、ユーザと直接やりとりをしました、
だとか、エンドユーザトレーニングの担当をしました、
だとか、そういうキャリアがほしいのである。


この4点セット・・・

  • 開発の中での知見を高める
  • 座学で全体の中での位置づけを確認する
  • その二つの知識を紐付けて語る練習をする
  • エンドユーザとのやりとりの実績を作る

で、やっと開発からコンサルへの橋がかかる。
書いてみると、結構当たり前のことではあるが・・・


さて、この四つを育成プランに組み込むわけであるが、
「会社として」という枕詞をつけると、ちょっと悩んでしまう。
この四つすべてに対する支援があってもいいだろうが、
うーん、上の二つは自己責任の範疇か・・・
4番目は、要員のアサインに関する事項なので、
会社の努力事項としていいだろう。*2
3番目・・・これは難しいな・・・
会社でやってもいいのだろうが、私自身は、ITCの研修会だとか、
そういう社外の場所を使っている。
そのほうが緊張感もあるし、社外の人の違った知見も取り入れられる。
うーん、けど、敷居が高いしな・・・


結論。

  • 開発の中での知見を高める・・・個人が今、開発の仕事の中で行う
  • 座学で全体の中での位置づけを確認する・・・個人が今、仕事外の時間で行う
  • その二つの知識を紐付けて語る練習をする・・・会社が場を作り、個人が行う
  • エンドユーザとのやりとりの実績を作る・・・会社が仕事のアサインを考える

と、まあ、こういう感じにしてみよう。

*1:自分で言うな!!自己完結つっこみ

*2:ウチは下請けだから、いくらこちらでアサイメントプランを作ろうが、絵に描いたモチになる確率は高いが