今年もこの日がやってきた

なんの日かって、神戸の地震の日である。


多分、今までで一番肉体労働をした日だ。
報酬は死体。
折り重なっている木だと思ってどけようとしたら、
ついこないだ、カラオケで一緒にバカ騒ぎしていたはずの
友人の固い体だった。


そのときは、なんていうのか、冷静だった。
ああ、掘り出さないといけないな・・・
柱が乗っかっていて、のこぎりだと大変だなあ・・・
そんなことを考えていたと思う。


去年は、10年ぶりに、その場所に行ってみた。
駅の近くのビルは、昔以上に立派なものがたっていた。
そして、道自体が変わっていて、目印になる建物も
大方立て替えられてしまっていたので、
探すのに苦労したが、なんとか、それらしい場所にたどりついた。


古い家が密集していたその周辺は、
まだまだ空き地が飛び飛びに残っていた。
その空き地の一つが、その場所だった。


ぼうっと、その場所を見ていたが、
不審者と思ったらしく、隣の家の犬が私を吠え立てた。
せっかく新幹線で3時間もかけてきたんだから、
もう少しゆっくりさせろよなあ、
と、思ったが、帰ることにした。


なにしに行ったんだろう。
「場所」になにかを期待していたんだろうか。
なにもないことはわかっていたのに。


今年はいつもどおりに出社。
私にとっては特別な日。
周りはいつもの一日。
当たり前のこのギャップに、10年以上もたっているのに、
いまだにくらくらする。


今日は晴れ。
あの日もとんでもなく晴れていた。