商社についての考察 その5 独立性の高さ

皆様の突っ込みを期待しつつ、何を書くつもりだったか思い出しつつ、
三ヶ月ぶりに書いてしまうのである。


さてさて、前回までは、

  • 商社には三大機能ある
  • そのうち、情報機能を取り出すと、「出会い系とお見合いおばさん」みたいな区分けができる
  • お見合いおばさんは、一旦契約がまとまると、継続的な取引となりシステムとしては比較的作りやすい

という話までしたと思う。
ただ、お見合いおばさん系であっても、システム導入はそう簡単ではなく、
それは人間の問題が大きい、という話までした(はず)。
では、その人間の問題ってのは何か、ということである。
まあ、一言でまとめると、独立心の高さである。


某社でのヒアリングでの、私にとっては衝撃的な会話・・・



「支店の売上実績がそのまま本社で見えて、
報告業務などの手間が省け、売ることに専念できますよ」
某支店長
「なにぃ?直接見えるようになる??
 そんなことは絶対にしてもらっては困る!!!」


当時、商社ってやつについて、あまり知識のなかった私は、
この人はなんか後ろ暗いことでもあるのかなあ、
なんてピントはずれのことを思ったりしたものだが、
実は「支店」ってやつは、一つの企業そのものと言ってもいい
独立したものだったのである。
まあ、フランチャイズのはしりみたいなもの、
と、思ってもいいくらいの組織だったのだ。


まあ、考えてみれば、中堅商社の「支店」ってやつは、
本社から出て行って、支社を開設した人を除けば、
当地でずっと商売をやってきた人。
そういう人に、「ウチの看板でやらない?」
と、誘って支店開設、なんてパターンも多いわけで、
そういう意味では、フランチャイズにどこまでも近い。
B/Sを持たせて、資金利息を負担させる、
なんて発想の評価も、各支店が独立していて、
のれん代を本部にはらうフランチャイズ方式と本質的には一緒である。
そうなると、本社といっても他人のようなもの、
数字が筒抜けになるのはマジで困る。
これが支店の論理なのである。


しかし、システム導入するにあたっては、これは困る。
そりゃ、システム的には、「権限かけたらいけますよ〜」
なんだが、そんなことしたら、「営業速報がすぐ出ます」
っていうメリットは吹き飛んでしまうわけで、
「なんのために高いカネはらってやってんだよ!!」
というお叱りが本社サイドから飛んでくること請け合いである。


そうなってくると、今度は政治力の勝負である。
いかに支店のお偉方を収めるか?
ユーザ側の政治力学も見極めながら、適切な人の名前を出しつつ
(もちろん名前を出すご当人の了解をもらいつつ)
中央集権的なシステムであるR/3導入の了解をとっていくのである。


あと、人の点で見逃せないのが、支店は人員がそもそも少なく、
年配の営業員の方が多いため、
そもそもパソコンアレルギーを持っている人しかいない、
という現実に直面し、どうやってデータ入力するんだ?
という話になってしまう、というパターンである。
これを回避するには、登録画面フルアドオンか、
受注センターを作ってもらって、受注受付業務を集中化してもらうか、
いづれかの方法に勢いなっていく。
そうなると、中堅規模の商社では、前者の方針を取れば予算オーバー、
後者の方針をとろうとすると、社内調整が大変で頓挫、
というパターンに陥りやすい。
システム企画段階で、「受注センター構想」というものをアピールし、
それを錦の御旗にすることで、中央突破を図るのが、よくある戦略である。
(大変だけど)


さてさて、ちょっと話が前後してしまうが、
「独立性が高い」という特徴を持っているがために
発生する要件が、「支店間取引」というやつである。
で、商社内の部署の専門性が高まっていく過程で、
「社内口銭制度」というやつに衣替えしていくわけである。
次回は、ここのあたりの話を書き散らしてみようかな〜と思う次第である。