終戦記念日にあたって

ふいー、びっくりした。
なんのことかって地震である。
東京でごっつうゆれたと思ったら、某地方都市でも結構ゆれた。
今日は午前中移動にしておいて大正解だったわけだ。


ということで、午前中の移動中、ちょっとこんな本を読んでみた。

とかく、終戦記念日モノの本というのは、過去形の題が多いのだが、これは現在進行形。
しかも復刻版で、書かれた時期は30年前。
古典でも読むか、とばかりに読んでみたのだが・・・
なんだこの内容!?全然古さを感じない!


うーん、うーん。
内容が濃いので、どの部分を取り上げていいのか迷う。
バシー海峡の話なんて、私は恥ずかしながら全然知らなかった。
「反省なきこと」の記述は、まんま失敗学の内容そのものだし、
そもそもルソン島の軍隊に、はなっから武器がなかったなんて記述にも驚愕した。
てっきり、負けが続いて補給が受けれないから武器がないんだ、と思っていたら、
そもそも武器がないところに、人を投入していただなんて・・・
けど、要件定義がいいかげんで、開発が遅れているところに、
人数合わせて開発者を投入する、なんてことが日常のこの業界、
60年前を笑えるのか?
開発者増やしたはいいが、開発用PCに割り当てるIPがなくって、
遊んじゃっていた、なんて実例も知ってるぞ!


その中でも取り上げるべきは、「反日感情」の部分だろうか。


突然だが、私は某ベンダーがだいっきらいである。
なんでかっていうと、一度、ひどい目にあったからだ。


その当時、私は、別のベンダーと契約していた。
そして、某ベンダーが作ったものを、開発テストフェーズから引き継ぐ、という話だったわけである。
さて、その某ベンダーが作成した、プロジェクトのマスタ・スケジュールを見ると、
決定的に抜けている部分があった。


マスタ・スケジュール上では、プロト2から直接システムテストになっている
ところが、プロト2では、「機能」に対してのプロトタイプはするが、
実際の組織に落とす設定はしない、ということになっていた。
つまり、「機能」を実際の組織に展開する「実装」というステップが抜けていたのである。


で、その部分をどちらがするか交渉に出向いたのだが、交渉相手の皆さんは、
自分たちのマスタ・スケジュールの欠陥を棚にあげて、
「それを押し付けるなんて、本当にカットオーバーさせる気があるのか!!」
「自分たちでやる、という自覚が足りないんだ!!」
と、ご丁寧に恫喝してくださった。
それ以来、大嫌いなのである。*1


ただ、ちょっと冷静に考えてみると、だ。
それ以外の場所で出会ったその某ベンダーの皆さんは、非常に紳士的で、仕事のしやすい方が大半だった。
要するに、確率としては、たった一回。一回こっきりの話なのだ。
ところが、自分の心を覗くに、どうしてもそいつがあるため、「嫌い」という感情が前に出てしまう。


この本の中にある、フィリピンのゲリラのエピソードは、結局そういうことなんだろうと思う。
多分、確率で言えば、5割以上の日本軍は、まともな対応を対フィリピンの人にしたと信じたい。
フィリピン人の捕虜を解放して、自治政府を作ったりしたわけだから、
少なくとも、大義名分はそうだったはずだ。
ところが、日本軍は、現地のゲリラを全部敵にまわしてしまった。
恐らく、一部の人間の暴挙を覚えているが故に。


確かに、襟を正すのは難しい。
しかも、相手は、一度の負の記憶を引きずり続ける。間違いなく。
しかし、「あいつらわからないよ」と、思考を停止した瞬間、
相互理解の道はなくなり、さらに悪意が増幅される。


少なくとも、私は、この本にあるような、ジャングルの極限状態で生きているわけではない。
多少余裕がある生活をしてるはずだ。
だからこそ、もう少し襟を正さねば・・・
「あいつらわからないよ」の思考停止に陥いらないようにしなければ・・・
少なくとも、今のプロジェクトを遂行する上では。
そう思う一冊だった。

*1:これ、ご当人たちは、私がそんなふうに思っているとは夢にも思っていないだろうな〜と思う。そして、「あいつら大嫌い!」を量産してるんだろう、きっと