「SAP]夏の悪夢

プレス発表もされていることだし、首相官邸のHPから、
郵政民営化のHPに飛べば、そのシステム部会の議事録も見えるので、
特に秘密ではないと思うが、
今、郵政公社の会計システムをSAPで構築しよう、
というプロジェクトが走っている。
で、業界の方はご存知だろうと思うが、
このプロジェクト、めちゃくちゃ人を吸い込んでいるのである。


詳しくは、上記のシステム部会議事録を参照してほしいのだが、
なんせ、政府案通りに会社を分割した場合、
会社のビジネス形態が違うので、
ハードウェアはひとつだとしても、
論理的には複数に分けなければならない、
という結論が出ているのである。
ということは、会社の分割方針を決定しないことには、
R/3のクライアント(論理的なシステムの単位)は
別々にすることができず、設定がFixできない、
という理屈になる。


おそらく今は、政府案どおりに会社が分割された場合、
という想定で、ある程度プロジェクトが動いているものと推測されが、
このような、要件がFixできない状態で進むプロジェクトは、
否応なくオーバーヘッドがかかり、開発工数が膨れる。
通常の企業ならば、このような状態になった場合、
トップの採決を求めて、開発工数の膨張にストップをかけてもらう
(これが、システム導入において、トップのコミットが必要という理由のひとつである)
というワザが使えるのだが、なんせ、今回、
要件がFixできない理由は、国会のゴタゴタである。
勢い、人を増やして対応しましょう、てな話になり、
現在、かなりの人員を吸い込んでいるわけでる。


まあ、この
「ビジネスが違うから、会社ごとにシステムは論理的に分けなければならない」
という理由の妥当性について、ここでは考えないでおこう。*1
このままズルズル進んで、われわれの税金が
どんどんITベンダーに流れていくのも黙認しよう。*2
しかし、一番困るのは、今郵政民営化法案が廃案になってしまうことである。


もしそうなったら、会社分割に備えて確保している大量のリソースが、
市中に流れ出してしまう。
そうなったら、当然、リソースのだぶつきが発生し、
市中のSAP技術者単価は、あっという間に下落してしまう。
今は、来年4月向けプロジェクトの人員計画作成時期のため、
この状態の発生は非常に困るのである。


ということで、是が非でも、郵政民営化法案を通してもらいたい。
がんばれ小泉!!*3

*1:どう考えたって、そんな結論にはならん

*2:逆に税金を回収しに、私たちもプロジェクトに参画するのが正しい!?のかな?

*3:理想もへったくれもない利益誘導的応援である