住民説明会での雑感

なんの説明会かというと、駅前再開発事業説明会なのである。
私の住んでいるところは、確かに駅前は雑然としていて、
バスが止まれるようなロータリーもなく、
車道と歩道の区別も少なく、かなり危ないところなのである。


ただ、道が狭い=入ってくる車も少ない、ということで、
子育てするには好都合、という話もあり、
現在の住居におちついている。
で、市から、そこの駅前に、ロータリーを作り、駐輪場を作り、
道をおっきくして、各種公共施設を作って・・・
というような開発計画(市素案、だそうだ)が出たわけである。
で、それには大規模なマンション建設と
商業施設の誘致がセットになっていたので、
まあまあ、どうなるんだろう、ということで、
のこのこ説明会に出かけたわけである。


しかしまあ、なんというか・・・
市主催の説明会というわけで、
「いいよいいよ、どんどん作って〜」
という人は、そもそも出席しないわけで・・・
私の印象は、「住民」の皆様が、言いたいことを
言いっぱなしにする場になってしまっていた。
いやはや、自治会会長のxxさん、本当にご苦労さまなのである。
ああいうのを見てしまうと、自治会長なんてやるもんじゃない、
なんて思ってしまう今日この頃である。


市の皆様の説明は、少なくとも私には非常にクリアな理屈であった。
ロータリーと各種公共施設の建設は、そもそも「地元」の皆様から
長年だされていた要望である。
それを実現するためには、補助金以外の金を、
どっからか引っ張ってこなければならない。
だから、高いマンションを建てて、それを売っぱらって事業費にあてて、
税金も少なくそれを実現する。
そのかわり、ロータリーや各種公共施設を使う周辺の皆様には、
多少日陰ができたり、風害が出たり、電波障害が出るんだけれども、
たいしたことはない「はず」だから、多少のことは我慢してね〜
いやだったら、ロータリーも公共施設もあきらめてね〜
と、まあ、こういう理屈である。


あ〜、なんかよく似ているなあ、と思ったら、
私がシステム導入をするときに、開発工数を削減するために、
エンドユーザの皆様を説得する文言そっくりである。
しかし、私と違って、「上司の押さえ」がない。
エンドユーザの皆様なら、最終的には、「会社の方針だから」という
錦の御旗を振りかざし、強行突破という手も使える。
しかし、市の職員の皆様は、この錦の御旗もないわけで、
わかってもらおうがもらうまいが、「正論」を話し続けるしかないのである。
ということで、私の心情は、急激に市から「生贄」として出てきた
3人の担当の皆様への同情へ傾いていくのである。


案の定である。
見慣れた風景を逆から見ているだけである。
「他にもこんな施設がないとダメだ」
「マンション建設はやるな」
金の出所の考慮はどこにもなく、単に自分の「してほしいこと」を連呼するわけである。
で、その「してほしいこと」を誰かが言うたびに、
拍手が起こったりするのである。
それを仕切る立場の自治会長さん・・・不憫である。


「市が金を」って、それも税金じゃないか・・・
自分がそんなに市民税を納めているわけでもないのに・・・
一瞬、生贄3人の味方をしようかな〜と思ったが、
なんせ私も今住んでいるところで、村八分にはなりたくない。
ちびまるこちゃんに出てくる藤木君なみの卑怯オーラを
わが身全身にまといつつ、まあ、市のお話というヤツが
それなりに筋の通った話であることを確認した、という収穫を手に、
まだまだワーワー言っている皆様を残して、その場を立ち去ったのである。


「民主主義とは堕落した大衆を利用する最も効率のいい政治体系である」
大学時代の友人で、そう言い放ったヤツがいたが、
案外正しいかもしれないな、と、思うひと時であった。