SOAが描く近未来 その5 自分の生きる道は?(2)

前回は、システム構築のステップを

  1. 企業戦略の立案
  2. 戦術計画の立案
  3. 戦術計画に基づく業務プロセスのモデリング
  4. モデリングに応じた、基本サービスの選択
  5. モデリングに応じた、オプションサービスの選択(必要に応じて製作)
  6. モデリングに応じた、プロセス制御の作製
  7. 実際の運用フェーズ

というように整理してみた。
そして、戦術計画に基づく業務プロセスのモデリングまで、
フェーズごとに必要になりそうな知識・そのフェーズで食べていくための、
横文字で言うところのCSFについて、考察してみた。
今回は、基本サービスの選択以降のお話である。

  • サービスの選択とプロセス制御の作製

一括りにしてみた。
狭義の「システム構築」の部分である。
ここで必要な知識は、モデリングされた業務に対する理解と、
基本サービスにどんなものがあり、オプションサービスにどんなものがあり、
そして、それを組み合わせるとこうなる、という、
システムの知識に関するもの、ということになりそうである。
現状のERP導入プロジェクトに必要なスキルと
共通点が一番多い分野でもある。
「導入方法論」や、「テンプレート」も、多少形を変えることになるが、
基本的に押さえる部分は一緒で、使いまわしできるだろう。
違うところは、繰り返しになるが、「カスタマイズ」よりも
「プロセス制御」が、モデリングされた業務に対して、
システムを効率よく構築するための、キーとなる知識/技術である、
という点である。

  • システム運用のフェーズ

基本サービスも理論的にはWebサービス化できるため、
アウトソーシングがより一層すすむ、という仮説は成り立つと思う。
究極の姿は、社内には情報システム部はなく、企画部門しか存在しない、
という状態で、業務改革があるごとに、システム変更はオプションサービスの
組み合わせを変えることで対応する、という姿である。
ここのフェーズは、知識というよりも、安定性・信頼性・セキュリティレベル、
などが成功のキーとなりそうで、個人のスキルレベルうんぬんは、
あまり表にでない部分になりそうである。


さてさてさて。
では、どのフェーズ(もしくはどこからどこまでのフェーズ)を
自分の領域として規定し、スキルを磨いていくか、
という点について考察してみることにしよう。


まず順当なところは、既存のERP開発の方法が置き換わった部分、
モデリング結果から基本サービスとオプションサービスを選択し、
プロセス制御の部分を作製する、というフェーズである。
カスタマイズという強みはなくなったが、
基本サービスとオプションサービスの知識を持っていて、
それを実運用にマッピングしていく部分では、
現在持っている知識の活用は可能であろう。
ただ、現在よりも「業務」に比重が高まることは間違いなさそうである。
オプションサービスを「探す」なんてのは、
Yahoo!Googleの検索で間に合ってしまうのだから。


「開発」としての考え方では、「オプションサービス」を作る、
という選択肢もあるだろう。
ただ、ここは多分今より激戦になっていくと思う。
Webサービスとして公開されているものが、相対的に増えるわけで、
開発する範囲がかなり減るのではないか、と思うのだ。
しかも、言語はJAVAだとか、.NETだとか・・・
日本の人口の何倍もある人口を誇るアジアの国々の皆様と、
生産性で競争するわけですか?
いやはや、大変。おいらはやる前から白旗なのである。


逆にモデリングからサービスの選択の部分は、「日本語」という参入障壁があるため、
なかなかアジアの国々と全面的に競争、というわけには行かない。
そういう意味でも、開発よりも業務側のほうが生き残る確率は高くなるだろう。
ただ、「情報の検索」という意味では、英語の能力は必須かもしれない。
今現在でも、R/3のことは、ABAPのことを調べようとすると、
英語での文書は、わかりやすいチュートリアルも含めて、
満タン存在するのに対して、日本語のドキュメントは絶対数が少ないのである。*1


業務知識、という定義も、少し変えなければならないだろう。
「購買担当の業務」「製造担当の業務」という、機能別の業務知識に加えて、
半導体の業界」「石油の業界」という業種・業界知識を必要とする、
「業種ごとの標準バリューチェーンに基づく、各担当の業務」の知識が必要になってくる。
現在のSAP認定コンサルタントというのは、MM,SDといった、どちらかというと、
機能別知識を前提としていたが、カスタマイズの価値の低下とともに、
このような機能別知識ではなく、業種別知識といったものに重点が移りそうである。
このセンを突き詰めていけば、もう少し上位のステップである、
戦術計画の立案、業務フローのモデリングなんてのも、
自分の業務として売り込めそうである。


そうすると、私の読む雑誌たちも、業種知識を得るためのものにシフトしていかざるを得ない。
つまり、「日経コンピュータ」だけではなく、
東洋経済」「日経ビジネス」なんて感じの雑誌たちから、
業種知識を得よう、という話になりそうである。


ふうむ、結局、SOA時代の到来を踏まえ、私の当面やることは、
英語の勉強と、東洋経済*2を読みましょう、という話になった。
結果だけ見たら、なんか当たり前・・・
世の中そんなものなんだろうな、という結果であった。

*1:英語のドキュメントならSDNやSAP HELP Portalで検索すれば、わんさかでてくる。さらに、海外サイトはフリーランスと思われる方々のトピック集がかなりあるのである。「日本語」は参入障壁でもあるが、開発スキルの教育コストを引き上げてしまう一面もあるわけだ・・・

*2:今週の東洋経済は面白かった。次世代ゲーム機の話であったが、ある程度技術の素養がある人が書いた記事らしく、非常に興味深かった