SOAが描く近未来 その4 テンプレートの位置付け

SOAシリーズは、まだ続いてしまうのである。
今回は、現在ある「テンプレートビジネス」ってやつについて、
少し考察してみたいと思うのである。


テンプレートというのは何か、というと、ERPパッケージが
肥大化してしまったので、業種にあわせてあらかじめある程度
設定をしてしまって、導入をさっさとやってしまいましょう、
という趣向のものである。
SAP社のホームページにいくと、All-In-Oneという総称で、
結構な数の「テンプレート」が、各ベンダーによって作られていて、
規模にもよるけれど、これを使うと、大体2億円程度の値段で全部できますよ〜
なんてことが書いてあるわけである。*1
さらに、この間、ご本尊のSAP社から、「ベストプラクティス」
なるものが出荷されますよ〜というアナウンスがあった。
業態によって、ある程度設定がされているという部分は、
各ベンダーのビジネスとして存在した「テンプレート」と全く同じで、
「SAPのベンダー潰しか!」*2
と、一部で盛り上がった一品である。
で、記事によると、そのような意図があるわけではなく、
「テンプレートをより効率的に作るためのツール」という位置付けなんだそうである。


「テンプレートをより効率的に作るためのツール、ってのは、また強引な理屈だなあ」
とは、私の隣にいるプライムベンダーの課長さんの弁である。
ただ、SOA時代を前提に考えると、そう変な話でもないかもしれない。


まず、ゲーム機とゲームソフトの関係が、
基本サービスとオプションサービスの関係に似ている、という話を前回した。
ということは、SAP社にとっての「パートナーシップ」で今後うれしいのは、
オプションサービスを積極的に開発し、自社のERPにあわせてくれる
ベンダー、ということになる。
で、オプションサービスが各種揃ったときに発生するのが、
新しいタイプの「テンプレート」になるのではないだろうか。
今までのテンプレートが、R/3の「カスタマイズ」をしてあるもの、
だったのに対して、SOA時代のテンプレートは、
ERPパッケージのカスタマイズだけではなく、
各種オプションサービスを組み込んだ、プロセス制御を含むもの、
に、変化していくことが予想される。
その状態では、やはりR/3の「カスタマイズ」の価値は相対的に低くなる。
じゃあ、カスタマイズの部分は、あらかじめ作っちゃいますよ、
という立場のものが、「ベストプラクティス」であると考えると、
なんだか「テンプレートをより効率的に作るためのツール」という位置付けは、
そんなに変なものではなさそうである。


ただまあ、猶予はあるにせよ、「カスタマイズ」の価値が、
ストップ安になっていくのはどうやら自明のことらしい。
「カスタマイズ」の事前設定のみをしてある現状のテンプレートは要らない、
というメッセージは、どう見ても「ベストプラクティス」に入っている。
じゃあ、どうやって生きていこうかなあ、というのを、次回のお話にしよう。
取りとめのない話になりそうだけど・・・

*1:この「テンプレート」自体、実は私は懐疑的なのであるが。作ってあるアドオンがある、くらいしかメリットが・・・それならアドオンパッケージでいいのでは??

*2:少なくとも私がR/3の仕事をはじめたときには、「導入」をするのがベンダーで、ご本尊のSAP社は「ライセンス」が売れればいい、という姿勢だったはずなのだが、いやいや、導入もやりますよ!!と、2000年くらいから変わってきたように思う。プライムベンダーの頭越しにエンドユーザと交渉して、プライムをかっさらっていこうとした、なんて話も複数ベンダーの人方から聞いている。まあ、私も某A社が某B社を導入作業から追い出しにかかったときに、その片棒を担いだこともあるわけで、良いか悪いかの話ではなく、通常の競争の範囲ってやつだとは思うが