SOAが描く近未来 その3 いつその世界がくるのか

前回は、自分の悲惨な未来について、思いをはせてみたのであるが、
じゃあ、それがすぐ先のことなのか、もうちょっと猶予のある話なのか、
ということについて考えてみようかな、と思う。


ポイントとするのは、前回「前提」においた部分が、
前提として現在なりたっているのか、とう点である。
つまり、以下である。

「基本サービス」と「オプションサービス」は、
社外のWebサービスとしてすでに存在し、
「基本サービス」と「オプションサービス」は、
インターフェイス項目としても足並みがそろっていて、
プロセス制御をベースとした接続に関する技術的な課題はクリアしている、

結論からいうと、現状においては、この状態にはまったくなっていない。


基本サービスとしては、現在ERPパッケージとして
販売されている製品群が、その候補になりそうである。
しかし、現時点で社外のWebサービスとして利用できるものは、
ざっと調べたところではないように思える。
(海の向こうではもしかしたらあるのかもしれないが・・・)


オプションサービスについては、いくつか始まっているようである。
例えば、与信管理の観点からのWebサービス、なんてのがある。
しかし、「インターフェイス項目として足並みがそろっている」という前提が、
現在保障されているか、というと、それも危ういところである。
そもそも、オプションサービスのインターフェイス項目をそろえようとすると、
やはり基本サービスが持っているデータベース項目にそろえていく、
というやり方が自然であるように思う。
そうなると、基本サービス自体がまだオープンな環境になっていないわけだから、
インターフェイス項目がそろっているオプションサービスなんてのは、
あるわけがないのである。


また、トラブルが起こったときに、原因の特定が難しくなるのではないか、
という危惧がある。
どのサービスでトラブルの元となるデータが作りこまれたのか、
要するに、どこが責任を持って直してくれるのか、あいまいになるのでは、
という危惧である。
パソコンですら、動かなくなったときには、
ハードメーカ「うーん、このソフトが原因ですかねえ」
ソフトメーカ「ハードの障害でしょう」
とまあ、こんな感じであるから、いくつものサービスをつないて
機能を作ったときには、非常に苦労しそうだ、というのは、
容易に想像できるのである。


うーん、そうなると、SOAベースの仕組みを現実として構築するには、
かなりのハードルが存在するようだ。
現状から考えると、

  1. 基本サービスが確立され、それがスタンダードと市場から認定される。
  2. スタンダードと認定された基本サービスにあわせる形のWebサービスが始まる

という2つのステップが完了しないと、SOAベースの仕組みは、絵に描いたモチ、
ということになりそうである。


となると、当面は、

  • 基本サービスは自社内において、信頼性を高める
  • オプションサービスのなかでの信頼性をあまり求められないものから外部のWebサービスの利用を検討する

という形になりそうである。


こうしてみると、基本サービスとオプションサービスは、
ゲーム機とゲームソフトの関係によく似ているなあ、という感じである。
ということは、次世代ゲーム機よろしく、基本サービスのデフェクト・スタンダードを
取るための争いが、これから発生する、という感じであろうか。
現在のところの最有力候補は、ERPパッケージのデフェクト・スタンダードを手に入れた
SAP R/3ということになるのだろうが。


外部への拡張性をもった基本サービスたるERP
それがERP2004なんですよ、どどーん、というのが、
なるほど、最近のメッセージだったわけですな。
で、外部サービスが完備されていない状況では、
相変わらず、カスタマイズだなんだという部分は残る、と。
なるほど、多少の時間の猶予はありそうである。


このあたりの考察は、もうちょっと続くのである。