ちょっと大きく「日本の未来」

非常に当たり前のことに気がつくのに時間がかかった。
レガシーシステム」の定義である。


NewWeaver関連の資料を見ると、
「既存投資を有効活用できます」
レガシーシステムとシームレスにつなぐことができます」
というような文言が踊っている。
う〜ん?どうやってつなぐのだろう、と思っていたのだが・・・
単に私が勘違いしていただけであった。
レガシーシステム」と「既存投資」は、
ホストコンピュータを前提とした話では決してなく、
HTTP/XML接続を前提としたシステムたちのことを指していたのだ。
自分で、「日本は一番ホストコンピュータが残っている国だ」
なんて書いておきながら、こんな簡単なことに気がつかないとは。
うーむ、恥ずかしいなあ。


思えば、XMLだとかSOAPだとかといった、オープンな環境での
データ交換の仕組みは、もう4年〜5年前に始まったお話であった。
その段階で作られた先進的なシステムは、そろそろ稼動から
3年程度たっているわけで、それから考えれば、
そろそろ再構築をするか、もう少し活用をしましょうか、
という意思決定が必要となっている時期にさしかかっている。
その状態では、「レガシーシステム」とはオープン系システムで、
HTTP/XMLベースのデータ交換が比較的簡単にできる
システム群であることがわかる。
そのマーケットに向けた情報発信、戦略としては、
「既存投資を有効活用できます」
レガシーシステムとシームレスにつなぐことができます」
というのは、非常に理にかなったメッセージだったわけである。


ところが、日本においては、前提となるマーケットが存在しない。
していても規模が非常に小さいのである。


2001年段階での日本の情報化投資状況を考えてみると、
一般には、2000年問題に対する情報化投資が一巡した瞬間に、
ITバブルが崩壊し、新システムを作ろう、というモチベーションは
かなり低い状況である。
しかも、世界で一番ホストが残っているような国である。
新しい技術はなかなか使いたがらないわけで、
その時期に、XMLベースのシステムが立ち上がって、
本格的な運用がすでにされているか、と、聞かれると・・・
うーん、そういう状況になっているとは、とても思えないわけである。


じゃあ、現在のところの企業の基幹システムはどうなっているかというと、
やっぱりホストがメインであり、オープン系基幹システムに
移行しているところというのは、ERPパッケージを導入した企業ぐらいしか
実際のところ見当たらないわけで、それらのホストコンピュータが
レガシーシステム」なのである。
ホストとは、さすがにXMLベースの通信は難しいわけで、
「既存投資を有効活用できます」
レガシーシステムとシームレスにつなぐことができます」
をそのまま読むと、「なんでしょうかねえ、これは」という話になるのである。


うーむ。これはすごくまずいような気がするのである。
単に自分の商売としてまずい、ということもあるが、
HTTP/XMLをベースとしたサービス思考のシステム設計というのは、
方向性としては間違っていない、と、私は考えている。
で、そのようなサービス思考のシステムが、
海の向こうでボンボンできて、いろんな企業が社内・社外の枠を越え、
国境さえも越えて、インターネット経由で自分の会社のシステムと繋ぎ、
エンドユーザは、使っているシステムが
社内のものなのか、社外のものなのか、ということは意識することはない、
というような未来がすぐそこにやってこようとしていると思うのだが・・・
日本の企業のシステムは、そのサービス思考のシステムに接続できないのである。
・・・これ、トンでもなくまずいのではないか?
最も競争力のあるサービスを選択しようとした瞬間に、
自分の会社の仕組みが古いために、それができない。
え〜?
日本は本当に大丈夫??


これは確かに、サービス思考のシステムが作る未来像というのを世間に提示して、
啓蒙活動をすることが必要な気がする。
けど、また、「流行」だと思われて終わりなんだろうか・・・
うーむ、うーむ。
これは是非とも「実例」が必要である。
しかし、自分の仕事を振り返ると、案件ベースの仕事をして、
日々の糧を得ているわけである。
うーむ。
なんとも解決しづらい問題である。