たこふじ第二章 本部システム・工場編

今回は、集中的にたこ焼きのもとを作るために立ち上げた
工場に対するシステムのグランドデザインである。


本部のバリューチェーンはどうなるか、というと、

  • 開発→設計→調達→受注→生産→出荷

というチェーンである。
ただしこのチェーン、時間軸が違う。
開発・設計は、新メニューの投入時など、3ヶ月〜6ヶ月のサイクルである。
調達は、一括調達によるコストダウンを図りたいので、
ある程度の在庫を持って運用する。
ということは、だいたい週次のサイクルである。
受注→生産→出荷のサイクルは、日次である。
このサイクルごとに、システム化の範囲を考えていく。


まず、受注→生産→出荷のサイクルである。
想定する業務の流れは、以下のようになる。
・各店舗が確定の発注を入力する。
・本部ではその数量をサマリーし、生産数量を確定する。
・生産数量分の材料を倉庫から出してくる。
・生産を行う。
 だし汁をつくり、小麦粉を均一になるように混ぜる。
 トッピングに使う具材をカットする。
・各店舗向けに分ける
・トラックに積み込んで、発送する。


各店舗が発注として登録したデータは、自動的に受注として
本部工場に取り込まれてほしいものである。
R/3の世界では、ALEを駆使すればなんとかなりそうな領域である。
そして、生産指示である。
MRPを実行し、材料の所要量を計算する。
通常は、ここで、生産の負荷シュミレーションを行い、
現在の設備のキャパシティなどを勘案しつつ、
日程計画を立てるのだが、たこふじにおいては、
その夜のうちに作って各店舗に届けることになっているから、
日程計画は作製しない。


MRPが終わった段階で必要な業務帳票は、以下である。
ピッキング票 ・・・ どの材料がどれだけ必要か、指示する帳票
・生産指示票 ・・・ なにをどれだけ作る予定か、指示する帳票。
ピッキング票が出力されると、それをもって現場の担当は、
小麦粉やその他の材料を倉庫までとりに行く。
取ってきたら、生産指示票を元に、生産活動を行うわけである。
一応、二種類と今回は考えたが、作る予定と必要材料を全部網羅し、
帳票を一種類にするやり方もある。
その場合、出力枚数も一枚でよさそうだが、
今後業績の拡大に伴って、作る人と倉庫の管理をする人とが、
別になる可能性は大いにあるため、
材料を持ってくる、という指示と、生産する、という指示をするため、
出力枚数は少なくとも二枚になる。


このあたりの機能は、R/3では一通りそろえている。
MRPを実行すると、「指図」というトランザクションデータが自動で登録され、
そこには、完成予定数量、ピッキングが必要な品目、数量などのデータが入っている。
また、原価を計算する単位も、この指図単位である。
ただ、標準帳票は正直しょぼい。
必要な表示項目は網羅されているのだが、なんとも人にやさしくないレイアウトである。
(現物を見てもらうことができないのが残念)
必要に応じて作ることになるだろう。


作り終わると、実績の登録である。
標数量に対して、作った実際の数量を入力する。
また実際に使った材料の実績も登録する。
ここで、在庫として一旦計上される。


それが終わると出荷である。
出荷指示の帳票は、以下のものが必要である。
・出来上がったものを店舗ごとに小分けにするための指示帳票
・小分けしたモノを送る「送り状」
・「送り状」のトラックの運転手用控え
帳票の種類としては、最初の小分け指示帳票と、送り状の二つのフォームをつくり、
送り状は二枚出力することによって対応することが多い。
そして、送り状部分の帳票は、対外帳票で自社のロゴを入れなければならない、
などなどの理由で、R/3標準帳票というものは存在しない。
必然的に作ることになる。
まあ、そのくらいは仕方がないだろう。


ということで、小分け指示通りに小分けしたものと、
送り状の内容を確認し、トラックに乗せて出荷である。
この時点で、本社側の売上として認識することにする。


出荷の部分に関しても、特にR/3と業務とのギャップは見当たらない。
出荷伝票の登録をJOB化し、それをトリガに上記の出荷指示帳票を出力する。
出荷したら出庫確認を行い、在庫の引き落としと売上原価の計上をする。
そして、またJOBで売上の登録(請求書登録)を行う、という流れである。


R/3と業務との机上FitGapの結果は、特に大きなギャップはなく、
アドオンも一般的な帳票案件のみ、という結果になりそうである。
ただ、実は一つ困ったことがあるのだが・・・
それは次回ということにしよう。