たこふじ第二章 店舗システムの考察

今回からは、フランチャイズ化したたこふじをサポートするシステム、
という観点で書き進めていこうと思う。


当たり前のことではあるが、フランチャイズの各店舗は、
独立した法人(もしくは個人事業主)である。
ここに統一したシステムを展開することのメリットとしては、以下があげられる。
・各店舗ごとの重複したシステム投資を回避する。
・各店舗の会計基準を一律にすることで、比較が可能とする。
一つ目が店舗にとってのメリット、二つ目が本部にとってのメリット、
ということになるかと思う。


そういえば、ゴーンさんが日産にやってきたとき、
ルノーに比べて日本の調達コストは3割高い、
だから調達改革を行うのだ、みたいなことを言っている記事を見たことがある。
実は、日産はゴーンさんが来たのを契機に、R/3を導入している。
ルノーもR/3を導入済みであった。*1
そもそも会計基準が同一でなければ、ルノーと日産との比較はできないわけで、
それを実現する手段として、ゴーンさんはR/3を選んだわけである。
ということで、たこふじにおいても、世界のゴーンと同じように、
複数の店舗の効率だとかを比較することで、ベストプラクティスの抽出を行い、
それを展開し、グループの一層の発展を期すのである。(たこ焼き屋だけど)


各店舗に展開するシステムの具体的な姿は、現在のたこふじシステムと同様である。
売上は各店舗に設置されたPOSレジのデータを、R/3に吸い上げる方式を取る。
メニューに乗せるたこやきの種類、トッピング、セットなどは、
すべて本社一括の品目マスタとして管理する。
各店舗独自のメニューも可能とするが、それは、代表品目を5つほどとり、
それを各店舗で使いまわししてもらうことにする。
また、管理会計の切り口もすべて同様に設定する。
各店舗ごとに、在庫評価は都度移動平均原価を採用し、
一日が終われば収支を確定する、という、はやりのOneDayClosingである。*2
以上の機能を持たせれば、店舗の運営をするにあたっては十分であるだろうし、
本部としては、日次で、各店舗の収支、メニューごとの収支を把握することができる。
投入した新メニューの売れ行きは?狙っていた客層にマッチしているのか?
などなどの情報が、鮮度ある形で集まるわけである。


そして、その情報のダイジェストは、各店舗にフィードバックするようにしよう。
収益性分析の店舗用レポートを作製し、公開するわけである。
店舗ごと売上ランキングなんつー、露骨なものもいいだろうし、
メニューごとの売上実績なんてのは、他の店舗で売れているものがわかるから、
じゃ、うちでもプッシュしてみようか、というような活動に
反映させることができるだろう。


もちろん、各店舗を法人として管理できるので、
税務関連のレポートも、まじめに日々伝票登録をやっていれば可能である。
で、上記のような、日々確定方式を取っていると、
伝票登録をサボっていると、すぐに異常値として現われる。
例えば、本部からのたこ焼きの元の受け入れ実績を一日入れるのを忘れると、
当日の収支がものすごいプラスに出るのである。
そうなると、本部に筒抜けで、
「おーい、どうなってんの〜」
と、すぐ指摘がくるわけである。
結果として、年度末に集中的に伝票整理をしてあっぷあっぷになり、
税理士さんに、
「いつもちゃんとやらないからですよ」
と、説教をうける、ということはなくなるわけである。*3


まあ、一般の人にR/3の素の画面で伝票登録するのは、
結構難しいものなので、ちょっと伝票登録方法は考えてあげなければならないだろうが。
私のお気に入りは、ユアソフトが出しているR/3のExcelバッチインプットツールに、
独自マクロを付け加えて、簡単に伝票登録ができるようにしましょう、という手法である。*4
そこらへんのところを付け加えて、店舗システムとしては完成である。


ちまたには、ERPなんて使えないよ!
なんて話をいまだによく聞くが、こういうことをやりたいときに、
ERP以外の選択肢ってあるんだろうか?
そりゃ作っちゃう、という選択肢もあるんだろうが、SEさん相手に仕様を細かく決める
人的リソースは今のたこふじにはないのである。
作ってあるものをうまく使いましょう、のほうが、現実的だと思うのだが。


次回以降は本部側のシステムについて考察である。

*1:SAP HPのカスタマーリストにも出ていたので、特に内部事情の暴露にはならないと思うが・・・問題あればご指摘を。該当部分削除します

*2:もうすたれたっけ?

*3:フリー時代の多少の実体験に基づく

*4:正直技術的にはたいしたことがないのだが、うまく使うと、おっそろしいくらい開発工数を削減できる。技術よりアイデア、といういい例である