たこふじ第二章 本部の役割

前回までで業務としての棚卸は一通り終わったので、
では、本部として何をするのか・・・
つまり、FCの各店舗に対して、どのようなサービスを提供するのか、
ということを定義していこうと思う。


まずはバリューチェーンの部分である。
開発→設計→調達→生産→受注→出荷が、一般的なバリューチェーンだが、
受注→出荷が各FC店舗が行う部分、という点については、疑う余地はない。
バリューチェーンのうち、どこまで左側を各店舗に任せるか、
というところが、切り分けのポイントである。
今回は、開発/設計/調達およびトッピングのカッティング、
小麦粉をとく、までは本部で行うことにしよう。
つまり、工場を一つ立ち上げる。
そしてそこで、たこ焼きの「もと」までは作ってしまうのである。*1
メニュー開発は、自分の舌でやりたいし、それの作り方も考えたいわけである。
そして、やっぱりダシの具合だとか、味のポイントをはずすわけにはいかないのである。


そうすると、バリューチェーンは、少し違った形をとる。
開発→設計→調達→受注→生産→出荷・・・ここまでが本部のバリューチェーン
調達→生産→受注→出荷・・・これが、各店舗のバリューチェーン
と、こんな感じになる。


本部のバリューチェーンに出現している受注と出荷は、
各店舗からの受注と、各店舗にたこ焼きのもとと
トッピング用の具材を発送するプロセスである。
明日のたこ焼きのもとの予想使用量を夜までに各店舗がまとめて、本部の工場に送信する。
本部の工場では、その「受注」に基づいて生産を行い、翌日朝に発送する。
うーん、本部はパン屋さん並に朝の早い工場になりそうである。
逆に、店舗から見ると、夜に本部に送る翌日使用予想量が、
「調達」というプロセスになるわけである。


補助部門についても同様に考察してみる。
各店舗の損益については、店長の責任とするべきである、
という立場から、できるだけ店舗側に寄せたいところであるが、
経理・人事という分野は、共通化でコストを下げることのできる
大きな部分でもある。
結論としては、必要人員についてのリクエストと、勤怠管理につては、
店舗側の役割とし、本部は、経理業務およびその他の人事業務について
一括で委託、という形を取りたいと思う。


そうなると、先に問題となりそうだ、と、書いていた「資金繰り」が、
大きな問題としてクローズアップされるのである。
本部にとっては、入金は日々の売上ではく、各店舗からの毎月の入金となり、
「入金予定」が発生する。
仕入れは現金ではなく、月次の掛け払いとできるぐらいの
購買量になるはずなので、これも「支払予定」が発生する。
また、FC募集の広告を打ったり、資金の使用用途は現状にくらべて
格段に増えるわけで、数々の「支払予定」が発生するわけである。
と、なると、気をつけておかないと、
「ひえ〜明日払う金がね〜よ〜」
というハメに陥りかねない。
資金繰りは、強化すべき部門ということになるであろう。


さらに、補助部門に関しては、「現状」存在するもの以外に、
「これから」必要なものもある。
一番大きなポイントは、設備という点であろう。
各店舗のイメージがまったく違うものになっては、
ブランドイメージの確立という観点からもマイナスである。
また、設計部門が立案した作り方を、各店舗で実現するためには、
機器の標準化というものも、どうしても必要になる分野である。
ということで、店舗の机や椅子、たこやき機を初めとする調理器具は、
本部から各店舗へのリースという形をとることとする。
そして、その窓口+店舗の運営サポートを行い、フランチャイズの新規加入活動を
行う部署も作らなければならないだろう。


う〜ん、さらに、まがりなりにも工場を作るからには、
その工場の設備を維持管理する業務が発生する。
プラントメンテナンスという業務である。
具体的には、どういう機械を使っていて、その機械はどのくらい使っているか、
ということを管理することで、買い替え時期や、修理が必要となったときに、
メーカーに迅速に問い合わせ、場合によっては自ら修理する、という業務である。
設備を維持メンテナンスする、という立場からは、上記の店舗向けと
業務範囲は重なりそうなので、この機能も、新設する「設備部門」の
役割とすることにしよう。


そして、やっとこ出てきた情報システムという役割である。
現在の想定としては、1店舗の状態ですでにR/3が導入されている。*2
複数会社の設定ができるR/3は、フランチャイズ化したたこふじでも
基幹システムとして活躍してもらうのである。
ということで、次からは、上記のフランチャイズ化したたこふじに、
R/3を机上導入していくわけである。


しかし・・・
こうやってみると、フランチャイズ化ってのは、ものすごいパワーのいることなのだ、
ということが、今更ながらわかるのである。
部署の立ち上げもやらなくてはいけないし、資金もいるなあ・・・
会社が大きくなるときに、今までと違った人材が必要である、
と、よく言われるが、なるほど、これだけ今までなかった部署が発生するなら、
やっぱりそうなんだなあ、と、実感する次第である。

*1:当然現実にできるかどうかの検証はしていない。念のため

*2:もちろん、現在のライセンス料では非常に無理がある設定であるが・・・