会議の生産性

唐突にプロジェクトマネジメントの話をするのである。
もちろん動機は、とんでもなく非効率な会議に付き合わされた腹いせなのである。


プロジェクトを遅延なく終了させるためには、生産性の向上は必須の命題である。
マネジメント手法というヤツは、期日、予算、品質を確保するために、
プロジェクト全体の生産性向上を図る手法である、というのが、私の定義である。*1


さて、生産性とは時間あたりのアウトプットである。
この時間あたりというものをもう少し厳密に定義すると、
・実時間x作業に加わった人数
が、時間である。
そうすると、生産性を上げるためには、みんなが集まる作業の生産性を上げるのが、
最も効率的なアプローチである、という結論に達する。
みんなが集まる作業とはなにか?
当然会議なのである。


ところが、この会議というヤツ、惰性で行われる場合が非常に多い。
現在最も無駄な会議は、「連絡会議」である。
こいつは、一つの情報を、複数の人間に迅速に
伝達する方法がなかった時代の遺産なのである。
メールで伝達したり、社内掲示板を使ったり、いくらでも方法はあるのである。


そうすると、会議として複数人を集める意義がある場合というのはなにか?
生産性の向上という命題をベースに論理を構築すると、
「三人寄れば文殊の知恵」の状態を作り出し、複数人の知見を組み合わせ、
より妥当な解決案を設定し、意思決定を行う、というプロセスを実現するための
舞台設定である、と、会議は定義されるべきであり、
このような目的がない場合についての会議は、ことごとく無駄なのである。
まず上記の定義によって、会議の絶対数を減らさなければならないのである。
よく無駄な会議をなくしましょう、と、言うが、ご当人たちは無駄なんて
これっぽっちも思っていないわけであるから、上記のような定義を導入し、
その常識を打破し、会議を削減するわけである。


さて、そうやっておいて初めて次のステップ、
会議自体の生産性を上げるためにはどうするか、という考察に入る。
まあ、ここから先は、世の中の本と結論は大差ない。


その1.事前にアウトプットを定義する
上記の定義では、会議は「意思決定を行う舞台設定である」と定義したからには、
何に対して意思決定するのか、ということを明示しなければならない。
ということで、会議のアウトプットは何かを定義し、事前に周知徹底する。


その2.会議の準備を出席者全員が行う
「三人寄れば文殊の知恵」の状態を作り出す、という定義に従えば、
上記のアウトプットを出すための下調べは、出席者全員がしておかねばならない。
頭数だけあつまっても、文殊さまには勝てないのである。
これは、会議中でも同様である。
発言しないヤツは、参加する意味がないだけでなく、生産性という観点からは、
明らかにマイナスである。


その3.会議では建設的に発言する
より妥当な解決案を設定するためには、Noばかりを連発するアホは必要ない。
代替案を提示し、意思決定可能な状況を作り出すことを目指さなければならないのである。


以上のことを行って、初めて会議は生産性があがる。
当たり前なのだが、読んで当たり前と、実際にやっているかは、全然別である。
そうじゃなかったら、どうして非生産的な会議に連発で呼ばれるのだ???
以前は、
「当たり前のことを当たり前にやっただけです」
というインタビューを読むたび、
「そんなわけねーだろ、絶対ノウハウがあるはずだ、出し惜しみしやがって」
と、思ったものだが・・・
うーむ、若かったのである。

*1:世の中のプロジェクトマネジメント手法は、遅れただとか、金がかかっただとか、品質はどうだったかという結果ばかり計る手法のような気がしてならない。「計る」ではなく「図る」が必要だと思うのだが・・・