たこふじ 原価と売価

さて、今回は、原価と売価というテーマで、少し書こうと思う。


現在のたこふじは、一人でやっている段階から、
・店内で食べるイートインのコーナーがある。
・たこ焼きだけでなく、ドリンク・フライドポテト等も販売している
・トッピングの種類、味などで、何種類かのたこ焼きメニューを用意している。
というような状態まで、大きくなっている。
で、これらのメニューの妥当な売価を決めましょう、というお話である。


まず、それらの「モノ」を作る原価がある。
フライドポテトならジャガイモだし、たこ焼きなら使う小麦粉・だし汁・たこなどの、
原材料の金額がベースになる。
ただ、前述のように、原材料の金額もブレるので、「このくらいかな」という見込みで計算していく。
しお味、えび入りなどのトッピングの材料費も考えなければならないので、
メニューごとに計算をしていく。


そして、「廃棄率」を見積もる。
小麦粉・たこなどは足が速いし、そもそも作り置きしていたたこ焼きは、次の日には食べれない。
逆に、ドリンクの廃棄率は、そんなに見積もる必要がないだろう。
以上の条件をベースに、メニューごとの原価を作っていくのである。


そして、えいやっ!!で、4割くらいの利益をのせて、売価にしてみる。


次に、この4割くらいの利益(粗利益)、というのは、正しいかどうかを検証してみよう。
つまり、ほんとうにこの利益率で、店舗の光熱費とか、人件費とかがカバーできるかどうかを検証するわけである。
そのためには、そもそもどのくらい売れるのか、という想定が必要になる。
たとえば、だいたい月間、ドリンクはこのくらい、たこ焼きがこのくらい売れる・・・というように、
想定を決めていき、店としての利益が妥当かどうかを検証していくのである。
そうすると、おおざっぱな最終利益がでてくる。


そして、そのあと、「お客様」からみた価値をベースに、値段を調整していく。
たとえば、フライドポテトなんていうのは、原価のわりに、おなかがいっぱいになるので、
ちょっと高めの値段設定をしても売れるものである。
逆に、トッピングなしのノーマルたこ焼きは、ちょっと利益率を落として、お得感を演出する。
そして、トッピングがあるものは、原価の増加率よりも大きな増加率の売価を設定するわけである。
まあ、これこそ、オーナーの私の腕の見せ所なわけである。


ということで、上記のような意思決定をサポートするシステムを考えてみよう。


今見てきたように、実際の原価を見積もろうとしたときには、いくつかの「想定」が発生する。
その「想定」が正しいかどうか、を実績を集めることで検証し、違うところは、次回の見積のときに
修正しましょう、というのが、原価管理の本に書いてある基本的な考え方である。
前回話をした、「粗利益のリアルタイム性」がどうして必要か、というと、
のPlanDoSeeのサイクルを早くまわすことで、適正な利益を確保しましょう、という意味合いがあるのである。


また、売上側も、いくつかの想定がある。
全体の売上高、そして売れるメニューの構成である。
これと、値段の戦略がマッチして、はじめて「思い通りになった」かどうか、わかるわけである。


ということで、システムとしては
・単品ごとの原価がわかること
・単品ごとの売上がわかること
・それぞれが、立脚している「想定」と、どの程度ずれているかどうかわかること
が、必要になる。
つまり、
・原価管理システム
・販売管理システム
・予算管理システム
が、必要で、それぞれは独立していもらっていては困るのである。


さて、では、もう少し詳しく原価計算の話をしよう、というように、普通の本は進むのだが・・・


どうもいわゆる「大企業」に行くと、原価オタクと言うべき人々とあう。
「正しい原価」を判定することに、命をかけている人々である。
結果、「おいおい、そんなの必要ないよ」というようなデータをそろえようとし、システムが肥大化する。


実際問題、R/3に実装されている原価計算の仕組みは、その原価オタクの感性をビンビンに刺激するため、
必要以上に「凝った」システムになり、その人が移動になると、なにがなんだかわからなくなる、
ということが起こりがちである。


「正しい原価」を判定することに血道をあげるよりも、「想定」との差異がちゃんと把握できているか、
そして、その「想定」の重要度・優先度が、きちんと守られているか、ということを考えることが大事なのだ。