身も蓋もない本

今回は、この本のご紹介。

天才!  成功する人々の法則

天才! 成功する人々の法則

なんとも「あ?そうなの?」という内容の本である。なんというのか、今まで漠然と感じていたことを、これでもか、と、数字と調査で論証していくという、めちゃくちゃ身も蓋もない本だった。

多分、気づいていたけれど

そりゃ、4月、5月生まれのみなさんより、早生まれの私が、幼稚園、小学校の体育で、たいした動きができなかったのは、それは当たり前、として受け止めていた。しかし、それが、実は日本全国みなさんそうで、プロ野球選手になる、という段階まで、連鎖的につながっていく、という話は、なんというか、幻滅の一言。じゃあ、生まれで決まっちゃうの?実際。そして、「そうだ!」と、この本はいい続ける。

いわく、年代が大事だ、と。得する年代っていうのは存在し、その代表がビル・ゲイツ。そして、「下流の子は下流」の原則についても、容赦なく実証する。民族としての「勤勉さ」について畳み掛ける。

そして、すべての主張は、マジック・ナンバーである一万時間へと収斂していく。その道でひとかどのものになろうとするなら、一万時間の鍛錬がおしなべて必要で、それが天才をつくる最低限の要因である、と。その一万時間到達の最短距離が、学年の区切りの早いほうに生まれ、世代がバッチリあっていて、上流の家庭に生まれ、「勤勉さ」を民族の文化として持っていることだ・・・
ね、身も蓋もないでしょ?逆転の人生なんて、本当にあるの?と、いう本なわけですよ。

そして自分を振り返る

しかしながら、別のアメリカン・ドリームについても語られている。
「その道」がメインストリームではないとき、上記のような要因で、メインストリームからはじき出されたゆえに、ニッチな「その道」で一万時間を達成していた人は、「その道」が時代の流れでメインストリームになったときに、大ブレイク。いきなり「バッチリあった世代」に昇格する、というお話。

で、自分を振り返ってみる。

私がR/3の仕事をはじめたのは、1997年だった。そのときは、企業の基幹システムに、パッケージを導入するなんて、ニッチもいいところだった。実際、私はほぼ最初からR/3をやる部署に配属されたのだが、当時私は、手作りの開発をやりたかったのだ。Cとかで、バリバリプログラムを書きたくて、他人様の作った仕掛けをどうこうする、なんてのは、意味があるようには思えなかった。しかし、そういう手作り開発をする部署は競争率が高かった。ようするに私は、人気のあるメインストリームの配属されるほど、「いい人材」と認定されてなかったわけである。

けれど、その「幸運」のおかげで、メインストリームかどうかは怪しいながらも、今、その仕事でフリーランスをやっているわけで。実際、単価は手作り開発の皆さんより高くもらえてるのは、客観的な事実だし。

うん、多分この本は正しく、私は、運がよかったんだろう。