商社についての考察 その2

おおっと、適当に書き散らしていたら、
素早いつっこみが入ってきた。


そう、多分経験のあるかたならなおのこと、
「商社の金融機能」については、感覚として違うんじゃないの?
というご意見はあるかなあ、と思っていた。
しかし、こんなにタイムリーにコメントもらえるとは
思っていなかったので、結構ビビってしまった。
これからもどうぞよろしく、という感じである。


さて、では、商社の金融機能のお話しである。
機能の論点ではサイトの差を提供し、
その分の手数料を商社がもらっている。
このモデルを「商社の金融機能」と、前回では呼んだ。


このモデルを実行しようと思うと、
やらなければいけないことを考える。
ひとつは、与信管理である。


売掛回収サイトが長い、ということは、
実質金を貸しているのと同じである。
だから、きめ細かい与信管理が必要になってくる。
残高の管理なんていうのは当然のことで、
「空気」を読むことすら、システム要件に反映される。


たとえば、請求書なんていうのは、持参するのはやめて、
アウトソーシングすれば、封筒に入れて郵便で発送まで
やってくれますよ、という提案をしたとする。


結果、ユーザの反応としては、小口はそれでいいかも知れないが、
ある程度の残高を持っているところは、
やっぱり持参だね、という話になることが多い。


なぜか、というと、請求書を持っていったついでに、
会社の様子を見て、なんだか怪しいぞ、
という「気配」「空気」を捕まえたいわけである。
まあ、そういうところには、用事がなくても営業さんは行くのだろうが、
漏れなく、を担保するために、請求書を持参する、
という1ステップを入れたりするのである。


で、もうひとつやらなければいけないことがある。
それは、本当にその取引で儲かっているかを、
どうやって把握するのか?という問題を解決しないといけない。


銀行なら、貸し出した金利と預かっている金利の差が利益である。
では商社ではどうするのか?
貸し出した金利、というのは手数料である。
では、預かっている金利にあたるものは?
これが、資本調達コストになる、というわけである。


商社へのR/3導入では、部門別のB/Sの把握と、
それに伴う社内金利計算が必ず要件に上がってくる。
つまり、社内金利よりもちゃんと高い手数料もらってるよね?
というのが、本当にその取引で儲かっているか、を、
図る尺度になるから、この要件がでてくるわけである。


ちなみに、R/3には、この社内金利計算の仕組みは、
当然のことながらない。
なぜかというと、サイトの差を利用して、手数料を儲ける、
というビジネスモデル自体が、商社オリジナルだからだ。
海の向こうでは、銀行が「金を貸す」という行為で、
その役割を担っているわけである。


もしあったら、EVAなんてものが、さも新しい理論のように出てくるはずがない。
上記の、社内金利と利益とを勘案して、本当に儲かっているかどうかを考える、
というのは、まんまEVAである。
日本の商社の社内金利制度がいつから始まったのかは知らないが、
ご縁のあった中堅商社の方に聞いたら、江戸時代からじゃない?
という返事が返ってきた。


ということで、やっぱり日本はすごいんだよ、という、
わけのわからない〆で今回はおしまい。
次回は、R/3を導入する上での、ありがちな問題点なんてので、
ひとつ書いてみたいと思う。


最後に・・・
皆様からの知識のフェードバックも非常にありがたく思います。
ここは違う、考え無しかお前!などなど、是非にコメントお願いします。