商社についての考察 その1

さてさて、愚痴ばっかりこの2ヶ月ほどたれてきたわけだが、
たまには真面目な話をしてみようかなあ、
と、思うわけである。


今回は商社に関してである。
縁あって、某中堅商社のR/3導入に関わったため、
いろいろと考えることがあった。
多少なりとも、そいつをフィードバックしようかなあ、
そう思うのである。


まず、そもそも商社がなぜ存在するのか・・・
そういう問題から考えてみる。
普通に考えると、工場から直接小売に出荷すれば、
手数料を払う必要もないし、
工場も小売もうれしいはずなのに、
どうして商社を通す必要があるのか?という点である。


まず一つ目は、商社の在庫・倉庫機能である。
問屋機能といってもいいかもしれない。
工場が生産するロットは非常に大きい。
売店が必要とする量は、当然それにくらべればかなり少ない。
したがって、商社もしくは問屋が、大きなロットで買って、
それを細かく小売店に売るわけである。
まあまあ、こいつはわかりやすい。
確か、小学校で私はそう習ったのである。


ところが、世の中を見ると、
モノは直接工場から小売もしくは消費者たる別の工場に
動いているにも関わらず、
商社が間に入っていることは多いのである。
こいつはいったいなんなのか?
単に腐れ縁で、通しているだけなのか?


で、今回は、キャッシュフローという観点を導入してみよう。


工場と小売のニーズをキャッシュフローという立場からみると、
・工場のニーズ・・・作ったものを早く現金化すること、
・小売店のニーズ・・・仕入に使う現金を少なくすること、
ということになる。
これは言い換えると、
・工場のニーズ・・・売掛金のサイトが短い
・小売店のニーズ・・・買掛金のサイトが長い
ということである。


少し補足する。
世の中一番いいのは、後払いでモノの仕入れておいて、
そのモノを売って、売ったお金で仕入れの代金を支払う、
という商売である。
これができると、元手はゼロである。
現実には、こうはできないが、できるだけ近づけようと思うと、
買掛金のサイトは長く、売掛金のサイトは短く、
というのが、ニーズになるわけである。


ところが、商売というヤツは、どちらかが売り手で、
どちらかが買い手だから、この二つのニーズはぶつかってしまう。
さてさてどうしましょうかねえ、という話になったときに
登場するのが商社なのである。


要するに、商社が間に入って、工場にはさっさとお金を支払って、
小売からは遅くお金をもらうようにするのである。
そうすれば、工場も小売もうれしいわけで、
その手数料を商社に払う、という仕掛けなのである。
これが商社の金融機能である。


このほかに、商社の情報機能というものがある。
特殊な商材で顕著なのだが、
特殊な商材ゆえに、作る側はどこで買ってくれるのか、
買う側は、どこで作っているのか、
情報が入りにくいものがやはりある。
その情報を商社が間に入って取り持つわけである。


ということで、商社には三大機能がある。
・在庫機能
・金融機能
・情報機能
である。


次は、金融機能について、もうすこし考察してみるのである。