たこふじ第二章 本部システム・直営店の扱い

さて、前回までで工場システムは大体こんな感じ、
というグランドデザインができたわけであるが、
一つ困ったことがある、と書いた。
その困ったこととは、直営店、つまり、今ある店舗の扱いである。


その他のFC店舗と同じ評価で図るなら、他の店舗と同様に、
工場から仕入れて販売、という構図にするべきである。
R/3でも、そういう構図にすることはできる。
内部振替価格というヤツを導入して、
工場から出荷し、直営店で入庫した段階で、振替価格として
利益センタ会計にデータが飛ぶ、という仕掛けである。
また、通常の出荷としても、直営店から購買発注とよく似た、
在庫転送指図というものを登録して、工場から出荷すれば、
同じようなオペレーションで処理できそうである。
最初、R/3の機能の勉強をし始めたときに、
どうして在庫転送と発注が一緒の機能なんだ?
手抜きかこれは?と、思っていたものだが、
なんのことはない、こうやってみると、同じ「調達」という行為であるから、
オペレーションも同じで「あるべき」だったわけである。


ただ、直営店の役割は、それだけではないのである。
人材の育成という観点もあれば、新メニューの実践の場という観点もある。
新メニューをいかに作るか、という店舗オペレーションを具体化する
役割も当然担ってもらわなければならないし・・・
要するに、他の店舗とは性質の違う費用が発生しているわけであるから、
他の店舗と同じ切り口での損益管理が妥当か、
というと、必ずしもそうではないわけである。


まとめると、直営店に対しては、コンセプトがそもそも二つあるのである。
一つ目は、
・工場→直営店
という段階で、「工場収益」として収益を把握し、
・直営店→お客様
という段階で、「店舗の収益」として収益を把握する、というやり方、
つまり、他の店舗と同様の考え方で、コンセプトとしては、
「直営店といえども甘えは許さない!!他店舗と同じ指標でがんばるのじゃ!!!」
である。


二つ目は、
・工場→直営店→お客様
という収益の把握方法である。
ある意味今までどおりのやり方で、収益は一貫で考えるべきだ、という考え方で、
「新規メニューの立ち上げが役割の一番!!
収益を求めるのではなく、必要以上の経費を使わなければいいのです!!!」
というコンセプトである。
まあ、一つ目のコンセプトは、「プロフィットセンター」として直営店を見ていて、
二つ目のコンセプトは、「コストセンター」として直営店を見ているわけである。


ということで、悩んだ末に、直営店は本部の一部として認識し、
工場→直営店→お客様という流れを通るものを、
「工場収益」「店舗の収益」と分離することをあきらめる、
という結論に達してみた。
つまり、直営店は「コストセンター」である、という考えをとるわけである。
工場オペレーションは同一にするために、上記にあるような、
店舗からの在庫転送指図という機能を使用し、
通常の出荷と同様の処理を可能にする、というデザインにしよう。


もし、これから直営店が増えて、かつ、その直営店では
人材育成やメニュー開発の機能は持たさない、
という定義を導入するのならば、「プロフィットセンター」として、
他の店舗と同じ考えを導入するべきであろう。


まあ、これで通常のオペレーションとしては、
一通り動きそうなシステムデザインができた。
このデザインに基づいてR/3をゴリゴリ設定していけば、
バリューチェーンの部分については、いわゆるプロトタイプ1の出来上がり、である。


さてさて、では次回は本部・補助部門のお話である。