NetWeaverという困惑 その4 「使える」業態と最後の困惑

さて、いままでつらつらとNetWeaver(+ERP2004)に関する困惑を書いてきたわけだが、
積極的に使いたい、と、思う業態もやはりあるのである。
専門性・価格とも高いものを売る業態・・・たとえば、ERP導入プロジェクトを
請け負っているような会社には、ばっちり合うのではないか、と思うのである。


このような業態の特徴は、「不定形データ」である。
マスタ化したり、数値で表したりする定型データと異なり、たとえば客先に出す見積書にしても、
購買発注(ようするに、外注さんを頼む)にしても、マスタ・数値以外の情報が
てんこ盛りなのである。
そして、次回同様のプロジェクトをする際には、それらの情報は共有すべき情報で
あるはずなのにもかかわらず、だいたいが、プロジェクトごとに作られるファイルサーバの
フォルダの片隅で、ひっそりとたたずんでいる。
定型データである、プロジェクトごと売上・原価・利益率などは把握できるが、その秘訣となる
関連ドキュメントが秘蔵の品になっていては、宝の持ち腐れというものである。
ただ、このような文書を、少なくとも定型データとリンクした形で、参照・検索するのは、
R/3単独では、やはり難しかったのである。


そこにもってきてNetWeaverである。
これは、そのような用途にはかなり期待できる仕組みである。


たとえば、私が見積もり書を作ろうとした、とする。
まず、関連キーワードを駆使して、類似の見積書をNetweaverEPで検索する。
いくつかでてくる見積書の中身を確認する。
そして、その見積No.をもとに、そのプロジェクトの利益率等の実績と、実際に発注された内容を
確認する。(見積の内容の修正が余儀なくされたかどうかを確認するためである)
必要に応じて、マイルストーンごとの報告書も参照する。
そうすることで、見積書の精度を高めていく。


この業務をサポートするための仕組み、を考えると、NetweaverEPとERP2004/BWの組み合わせは、
かなり強力なツールとなりそうである。
プロジェクトの利益率と、そのプロジェクトの見積書を同時に見る、というような要件は、
まあ既存の仕掛けでもやろうと思えばやれるのだろうが、「シームレスにつなぐ」という点では、
やはりNetweaverEPとERP2004/BWの組み合わせが、現時点ではいいように思える。


もちろん、私は今現在、NetWeaverもERP2004も実際に動かしてはいないので、今までの話は
全部机上の空論である。
最大の困惑は、現時点で「動いた」実績が少ないことである。
実際、「調子いいこと言ったって、動かなきゃ意味ないんだよ!!」という意見はもっともで、
現時点でのNetWeaverやERP2004の完成度は、今までのAPO/SRMなどの事例を見ると、
あまり高くないだろうな、と、予想してしまう。
(さわったことがないから、根拠なしの悪口の部類ではあるのだが、R/3 4.6Cは、
最初管理領域を登録しようとすると、エラーで先に進まなかった、という事例をみてしまうと・・・)
正直、ババは引きたくないので、誰か先にカットオーバーさせてくれないかな〜てなもんである。


ただ、完成度の高いコンセプトがもう一つのプロダクトと、完成度は低いがコンセプトが優れている
プロダクトとを比べた場合、どちらが将来に対して安心か、というと、後者ではないかと思う。
現実として、あんだけボロボロだったAPOを、まともに動くものにした、という実績をSAP社は
持っているわけだし、その「粘り」があれば、プロダクトの完成度は上げれるに違いない、
そう思うのである。