たこふじ 第一部の締め「減価償却」

たこふじシリーズ、第一部はこの回で終わりにしようと思う。
話のネタは「減価償却」について、である。


まあ、税制にはアホな規定が多いのであるが、この減価償却ほどアホな規定はない、
本気でそう思うのである。
別に制度とか仕組み自体がアホなのではなく、その残存価値と償却期間が、
あまりにもあまりにもあまりにも、現実と乖離している。
結果、かなりの「重税感」が、経営サイドから見るとあるのである。


減価償却の仕組みをさらっと書いておくと、基本的に「償却期間」と「残存価値」というのが
モノの種類ごとにあって、モノを買った年に費用を発生させるのではなく、
買ってから使う期間にわたって費用を発生させましょう、という会計上の仕組みである。
おおざっぱな説明をすると、「使う期間」というのが「償却期間」で、使った後に下取りに
出したときに買い取ってくれる値段が「残存価値」ということになるのである。


で、何がアホかって、その「使う期間」と「残存価値」の規定である。


たとえば、パソコンである。
償却期間は5年、残存価値は10%ということになっている。
で、冷静に5年前のパソコンが今使えるか?と、考えてみると、そりゃつらいよ、という話になる。
しかも、10%の残存価値?買い取ってもくれなくて、リサイクル料を払うのがオチである。
理屈からいけば、償却期間3年、残存価値0が妥当なところだろう。
けれども、税制上は、5年の償却期間があるので、本来の「費用」よりも低い「費用」しか
毎年発生せず、結果として、より多くの利益が形式上発生し、税金を多く払うハメに陥るわけである。


まあ、パソコンなどは実は小額なのでたいしたことはないのだが、たこふじにおいては、
店舗の改装費、という大きな問題がある。
これの法定償却期間は「建物」なので20年なのである。
店舗の改装なしで20年もやっていけるわけないだろがあ!!という叫びが、どこそこで聞こえるのだ。


となると、である。
法定の減価償却とは別に、「本当の」利益を計るための減価償却が必要になってくる。
まあ、一種の二重帳簿なのだが、これも一種の管理会計である。


ちなみに、うわさではあるが、某焼肉チェーンは内部償却期間を3年に、
電気屋チェーンでは同じく5年と考え、内部損益を作っている、とのことである。
確かに、その程度が妥当なセンであろう。


某所で、減価償却の国際比較、というものを見たことがあり、確かにそれを見ると、欧米諸国に
対して、日本が突出して減価償却期間が長いわけでなかった。
ただ、現実にあっていないという点では一緒である。


ということで、店舗1つの段階のたこふじでも、この事実はおさえておかねばならない。
R/3を入れるときは、減価償却領域を一つ追加で用意して、3年の減価償却の数字を押さえることが
できるように、考えておくことにしよう。


うーん、それもちゃんとできるR/3、恐るべしである。