たこふじ登場 管理会計編



さて、前回のお話で、
・企業の成長に伴う、一般的な効率性をもった業務プロセスを理解していること
が、コンサルタントスキルとして第一優先である、と書いた。
その具体例を、つらつらと書いていこうと思う。


ここで、架空の会社に登場してもらおう。
たこ焼き屋「たこふじ」である。
私がひそかに企画をあたためている、たこ焼き会社である。


この会社、現在立ち上げたばかり、ということにしておこう。
店舗は一つ、働いているのは私だけ、学校帰りの子供相手に、たこ焼き焼いて、
ぼちぼち商売している状態である。


しかし、せっかくなので、この会社、少しずつ大きくなっていき、
世界120カ国にチェーン展開するまで大きくなる,という設定にし、
そのときどきのビジネスプロセスについて考察していこう。
マクドナルドだとかケンタッキーなんてのが、世界チェーンを作れるなら、
日本の誇るファーストフード、たこ焼きも世界チェーンになるのは必然である!!))


さて、第一回目、今回の「たこふじ」の状態は、
・私一人でたこ焼きを焼いている
・学校帰りの学生さん相手に、ぼちぼち商売している
という状態である。
さっそく必要なシステムの検討をしてみよう。


・・・しかし、まあ、この段階では、必要なシステムというのはほとんどない。
小麦粉・たこ・てんかすなどは近所の店で仕入れるし、焼くのは自分だし、売るのも自分である。
唯一必要であろうと思われるのは、青色申告するための会計システムくらいだろう。
と、いうことで、会計システムを導入する。
ただ、せっかくだから、管理会計のはしりくらいは、できるようにしておこう。


会計というのは、要するに会社が儲かっているかどうか、を、見るためのものであるから、
いくら儲けたか、ということがわかればいい。


儲けは、
利益 = 売上 − 費用
という式で表される。
ということで、見たい数字は、「利益」「売上」「原価」が基本である。


これを、勘定という切り口で分けたものが財務会計、それ以外の切り口で分けたものが、
管理会計、という見方もできる。


さて、たこふじが採用する管理会計の切り口は、どうするべきか?


例としては、以下をあげよう。
・誰相手に商売を今しているのか
・どの時間が売れるのか


ということで、最初の切り口は、
「時間」「客層」である。
「客層」は、「子供」「学生」「主婦」「その他」くらいの区分けにしておこう。
ということで、売上実績登録の時には、「客層」「時間」を登録することにした。


・・・とまあ、ここで最初のポイントである。
「客層」の分け方はこれでいいのか?
そもそも、なんのために「客層」を切り口とするのか?


たこふじは、実は新メニューの開発をすることにした、という前提に立ってみよう。
で、その新メニューは、今は買っていない人にも、買ってもらえるようにしよう、
という目的で、導入する、としたとする。
そうすると、基本的には、お客さんの「趣向」をベースに、現在の客層を分析し、
新メニュー投入の暁には、その狙いがあっていたのか、ということを検証する必要がある。
だから、「客層」は、お客さんの「趣向」を、ある程度反映させるものでないといけない。
そうすると、上記客層でいいのではないか、という、形が出来上がるのである。


逆に、たこふじの業態が、「たこ焼きデリバリー」であった場合の「客層」は、
どちらかというと、「どこに住んでいるか」で、カテゴライズするべきであろう。
浸透度の薄い地域に、チラシを入れる、という用途のために、である。


ということで、経営判断に基づく切り口の抽出、そして、目的にあったカテゴライズが、
管理会計システム導入時、コンサルタントが担う一つの役割になるのである。


蛇足だが、
「データを分析したい切り口をリストアップしてください。
切り口の中でマスタ化したいものを抽出してください。
マスタの値を設定してください」
で、おしまい、という構築方法も、もちろんある。
ただ、このやり方を「コンサルタント」という肩書きでやるのは、私はフェアではないと思う。
このやり方は、SEの仕事のやり方であるからだ。